たけのこ しょうず
立夏-竹笋生

新暦5月16日 から5月20日
公開日:2017年5月16日

 竹笋とはタケノコのこと、候名は「タケノコが生えてくる頃」を表しています。
タケノコは、竹の地下茎から生え出る若芽です。褐色の毛が密生した皮を幾重にもかぶっています。和食ではおなじみの食材ですね。一般的にモウソウチク・マダケ・ハチクなどのタケノコを食用にします。
 「雨後のたけのこ」という言葉があります。雨が降ったあとに、タケノコが次々に出てくるところから、似たような事が相次いで現れることのたとえです。この言葉のように、この時季に雨が降ると、竹林では次から次へとタケノコが顔を出します。タケノコといえば、すくすくと育つ植物の代表格。一日に30㎝以上も伸びるのだとか。驚きの成長力であり、これぞ生命力の象徴ですね。
 また古来より旬の味覚を大切にしてきた日本人にとって、竹かんむりに旬の字を当てて「筍」と読むこともあるタケノコは、まさしく旬の代表的な味といえるのではないでしょうか。

茶の趣向・心配り

掛物

 初夏の時季には、緑と風を感じさせる掛物などをあわせてみてはいかがでしょう。タケノコといえば、ということで“竹”が取り入れられた掛物としては、以下のようなものが爽やかです。

 青葉薫るこの時季、「青嵐」「若葉風」「青葉風」「薫風」などの銘はいかがでしょう。
 「青嵐(あおあらし・せいらん)」は初夏の新緑から青葉の頃、青々とした林や野山を力強く吹き抜けてくる、少し強めの風のことをいいます。また、青々とした山のことをいうことも。
 「若葉風」「青葉風」は新緑の中を吹き渡る風のことで、「薫風」はさわやかに吹く初夏の風のことをいいます。どの言葉からも、新緑のすがすがしさが伝わってきますね。

【清風動脩竹(せいふう しゅうちくをうごかす)】

 静かな竹林にさぁーっと一陣の清らかな風が吹きわたり、細長い竹がさわさわと揺れ動く、その様子を表わしています。そしてその後にまた静寂がもどってくることから、全ては無に還るという禅思想を包括しています。

【清風在竹林(せいふう ちくりんにあり)】

 竹林に清々しい風が吹きぬけている、という意味です。清らかな風情を感じさせてくれる言葉です。漢字を見るだけで情景が浮かんでくるような、涼やかな漢詩となっています。

花入れ

【青磁筍(せいじたけのこ)】

 頸が長く、竹の節目のように作られている姿がタケノコを思わせる花入れです。タケノコの名はついていますが、タケノコから若竹になるあたりを意匠にしているのではないかと思われます。
 青磁といえば、やきものの中でも代表的な発色のひとつです。やきものに詳しくはないという方でも、この名には聞き覚えがある方が多いでしょう。青磁の特徴である青緑色は、鉄分から生み出されています。青磁の釉にはわずかに鉄分が含まれており、これが焼成の際に発色し、透明感のある青緑色として焼きあがるとのこと。
 健やかに伸びゆく若竹を思わせる、青緑の青磁筍。背が高い花を気持ち良く活けることができます。

茶花、季節の植物

【苧環(おだまき)】

 キンポウゲ科の多年草です。日本の中部以北の高山に自生している、もっと小形のミヤマオダマキが原種と考えられているようです。草丈は20~30㎝で、全体に白粉を帯びた緑色です。葉は長い柄をもち、扇形の小葉からなる複葉形で、初夏に青紫色または白色の花を下向きにつけます。古くから庭園で栽培されてきました。苧環とは、機織りに用いる糸巻の一種のことで、花の形がそれに似ていることから付けられた名前だそうです。
 茶花としては、籠花入に他の花を何種か組み合わせて活けるのがよいでしょう。

季節のお菓子、食べ物

【初鰹】

 5月の魚といえば「初鰹」ですね。初鰹とは、初夏のころ南の海から北上して東京湾などでとれる走りのカツオのことをいいます。この時季のカツオは身が引き締まり、脂はのっていないため、さっぱりとした味を好んだ江戸庶民の舌にあい、大変珍重されました。また鰹は「勝つ魚」に通じることから縁起の良い魚とされ、特に初物を好んだ江戸っ子には、初鰹を食べると寿命が七十五日伸びると信じられ、当時から大人気の食材でした。
  鰹にはタンパク質やビタミンが豊富で、造血作用や骨粗しょう症予防にも効果的なので、特に女性にはうれしい食材です。初鰹はタタキにして、旬のショウガや茗荷、大葉などをたっぷり添えていただきたいですね。

茶趣・行事ごと

【唐招提寺・うちわまき】

 奈良・唐招提寺で5月19日に行われる行事です。鎌倉時代の唐招提寺中興の祖・覚盛(かくじょう)上人が、修行中に蚊にさされているのを見て、それをたたこうとした弟子に、「自分の血を与えるのも菩薩行である」といい、戒めたという故事があります。その徳をたたえ、「せめてうちわで蚊を払って差し上げよう」と、没時に法華寺の尼僧がハート型うちわを供えたことが始まりです。
 当日は各地から奉納されたうちわや寺内で正月から準備した除厄のうちわ数千本が用意され、一山の僧侶により法要がとりおこなわれ、中庭では舞楽が奉納されます。午後からは祈願のこもったハート型のうちわが鼓楼から参拝者にまかれます(安全のため、そのうちの数百本は僧坊で手渡しされます)。うちわを授かることは、病魔退散や魔除けのご利益があるといわれています。また、農家では害虫除けにと苗代に立てたりする風習もあるそうです。

【旅の日】

 松尾芭蕉が「奥の細道」へ旅だったのは元禄2年3月27日(1689年5月16日)の早朝のことでした。この日、芭蕉は江戸・深川の芭蕉庵を弟子の曾良を伴って旅立ち、東北・北陸の地を旅し、訪れた地で多くの句を詠みました。芭蕉出立の日にちなんで日本旅のペンクラブが制定した記念日が「旅の日」です。この日は旅に関するシンポジウムや「日本旅のペンクラブ賞」授与式など、旅に関するイベントが行われます。
 5月にはちょうどゴールデンウイークもあり、だれもが旅に出かけたくなる、気持ちのいい季節ですね。

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