かいこおきて くわをはむ
小満-蚕起食桑

新暦5月21日 から5月25日
公開日:2017年5月21日

 5月も終わりが近づいてきました、この候の頃には蚕(かいこ)が桑の葉を盛んに食べ始めます。
 蚕はカイコガという蛾の幼虫です。桑の葉を食べ、ふつう4回脱皮し、繭を作ってさなぎになります。繭からは絹織物の原料となる生糸がとれるため、養蚕が江戸時代以降全国的に普及しました。明治維新になると、生糸は特に国の重要な輸出品として増産されるようになります。富岡製糸場に代表される製糸業が発展しました。そのため養蚕がさかんだった戦前までは、蚕の餌となる桑を育てる桑畑が全国各地で広く見られました。
 ちょうどこの時季にあたる旧暦の4月には「木の葉採り月」という別名がありますが、これは桑の葉を摘む頃、という意味だそうです。
 日ごとに気温が上昇し、植物も動物も日光を浴びてぐんと成長する頃。生命活動が天地に満ち満ちてきたことが実感できる季節ですね。

茶の趣向・心配り

【富士(ふじ)】

 小さな口から始まり裾は広がっており、その名の通り富士山のような姿の釜です。富士山といえば、円錐形で左右の比がほぼ等しく、どの角度から見ても美しいという特徴を持っています。この安定した構図が人に落ち着きや安心感を与えるとされており、富士釜からも同様の効果を見受けることが可能です。
 富士釜は江戸時代に特に好んで制作され、京作だと五郎左衛門の牡丹紋や道仁の桜地紋などがあります。

【丸卓(まるじょく)】

 丸卓は天板と地板が共に丸い一重棚で、シンプルな立ち姿が美しいつくりです。炉・風炉の両方で用いることができます。
 利休好みと宗旦好みがあり、利休好みは桐木地に三つ足で、そこから二本の柱が内側からのびています。宗旦好みは、黒一閑張片木目で厚い地板をもち、足はありません。二本の柱が外側からのびています。
 丸卓は、棚物のなかでも基本とされるものとして頻繁に挙げられます。しっかりとおさえておきたいポイントのひとつです。

茶花、季節の植物

【杜若(かきつばた)】

 アヤメ科の多年草で湿地に群生しています。初夏に濃紫色の、花菖蒲に似た形の花を開きます。古くは花汁で布を染めるのに用いられたため、書き付け花とよばれたのが名前の由来なのだとか。アヤメの仲間のなかではもっとも古くから栽培され、季語として親しまれ、家紋にも用いられています。江戸時代に園芸化が進み、多くの品種がつくりだされました。
 茶花としては、蕾やあまり開ききらない花を用います。初夏を代表する花の一つで、すっくと伸びた立ち姿が愛でられる花なので、そのまま素直に活けると美しくおさまるようです。

季節のお菓子、食べ物

【岩根躑躅(いわねつつじ)】

 桜の季節も終わり、山の青葉が目にまぶしいこの頃、咲き誇るつつじの姿をあらわした主菓子です。黄緑色に染めたきんとんを青葉の山にたとえ、冴えた紅色のきんとんをつつじにみたてたものです。
 日ごとに移ろう季節の色を、鮮やかに切り取って表現した、目にもおいしいお菓子ですね。

【枇杷(びわ)】

 バラ科の常緑高木です。四国・九州の一部に自生し、高さ約10mほどになります。葉は大形の長楕円形で、表面はつやがあり、裏面に灰褐色の毛が密生しています。秋から冬、枝の先の方に黄色がかった白い花をたくさんつけ、夏に卵形の実が黄橙色に熟します。
 最近は果物の旬がわかりにくくなっていますが、枇杷はほとんどが5月、6月という短い時季に店頭に並ぶ、季節感あふれる果物です。
 また、カロテンが豊富で、その含有量は緑色のピーマンを上回るとか。粘膜や皮膚を強化し、かぜのせきやのどの痛みの緩和に効果があるそうです。このほかビタミンB群・C、カリウム、リンゴ酸、クエン酸などを含む、夏かぜの症状緩和や疲労回復、食欲増進に役立つ、すぐれた栄養食品です。傷みやすいので、ジャムやワイン煮などに加工するのもよいでしょう。

茶趣・行事ごと

【とげぬき地蔵尊大祭】

年間800万人の参拝客が訪れる、おばあちゃんの原宿として全国的に名高い東京巣鴨とげぬき地蔵尊・高岩寺の大祭です。
 本尊・延命地蔵菩薩は小さな霊印に現れた尊影で、江戸時代、尊影の写し(御影・おすがた)を針を誤飲した女性に飲ませたところ、針が尊影を貫いて出てきたのが「とげぬき」の由来だそうです。縦4センチ横1.5センチの和紙の中央に尊像が描かれている御影を痛いところに貼ったり、のどに骨が刺さったとき飲んだりすると治るといわれ、高岩寺本堂で授与しています。
 毎月4の日が縁日で数万人の人出があり、特に1・5・9月の24日は大祭です。通常、大祭は午前10時30分と、午後2時30分の2回、本堂で病気平癒・商売繁盛・心願成就などを祈念し、大法要が営まれます。数十人の僧侶達が「大般若心経」「地蔵経」を輪読する光景は圧巻の一言とか。境内には洗った所が良くなる「洗い観音」もあります。
 寺の内外で開かれる市も楽しく、門前の唐辛子は名物として知られているそうです。

全てのお便りの一覧へ
このお便りの先頭へ

このお稽古にしおりをつけました。
しおりのページでまとめて見れます。

残りのしおり数を増やすには?