あつかぜ いたる
小暑-温風至

新暦7月5日 から7月9日
公開日:2017年7月7日

 夏の熱い風が吹く頃のことです。二十四節気では小暑の初候にあたります。
 この候の前後にようやく梅雨が明け、照るような夏の日差しになってきます。梅雨明けころに吹く南風のことを「白南風(しろはえ)」と呼ぶ地域もあるそうです。この時季はカラッとした気持ちのいい晴天の日とともに、時として集中豪雨に見舞われることもあり、注意が必要です。
 また、小暑から立秋までのひと月が暑中となります。暑中見舞いを出すのはこの期間です。日頃メールのやり取りで済ませている方も、時には改まって手書きの暑中見舞いなど出してみるのもよいのではないでしょうか。なかなか会えない人とのご縁を、手で書いた文字で結ぶというのも粋なものです。

茶の趣向・心配り

茶碗

【馬盥茶碗(ばだらいじゃわん)】

 縁が切り立った浅い茶碗のことです。馬を洗う盥(たらい)の形に似ていることから付けられた名前だということです。その特徴は、なんといっても平茶碗などと同じように口が広く浅いこと。深さがあまりないので、涼しさを演出する夏場に似合いです。

 7月7日は七夕ですね。日本における「たなばた」は奈良時代に中国行事として伝来され、元からあった日本の「棚機津女(たなばたつめ)」伝承と融合して現在に近い形になったとされています。 
 『平家物語』等においても貴族が願い事を葉に書く風習が描写されており、江戸時代には一般庶民にも年中行事として普及しました。織女が蚕織を司るとされていることなどから、本来七夕でかける願いは詩歌・裁縫・染織などを中心とした技芸・手習いに関するものとされています。茶道も広義での技芸のひとつ。この機会に上達をお願いしてみるのもよいかもしれませんね。
 七夕ゆかりの銘としては、「織姫」「彦星」「星祭」「星祝」などが明瞭です。また「星河」「銀漢」などは天の川を表しています。

茶花、季節の植物

【木槿(むくげ)】

 アオイ科の落葉低木です。高さ約3mほどになり、葉は卵形で、縁に粗いぎざぎざがあります。夏から秋にかけて、紅紫色の5弁の花が朝開き、夕方にしぼみ、次々と咲き続けます。花色は白色や花の底が紅色の底紅(そこべに・宗旦木槿)といわれるものもあり、また八重咲きなどの品種もあります 
 中国・インドの原産で、日本には古く伝わり観賞用として庭に植えられてきました。茎の皮からは繊維をとり、江戸時代は紙に漉いたということです。別名をハチスともいいます。
 木槿は風炉の季節の代表の花とされ、残花は秋まで茶席を飾ります。

季節のお菓子、食べ物

【糸巻・天の川】

 この時季七夕に関わるお菓子といえば、やはり「糸巻」などが代表的でしょうか。これは織姫にちなんだもので、彼女が機を織って、神様たちの着物を作る仕事をしていることに由来します。ねりきりを糸に見立て、巻き付けるようにあしらった姿はとても可愛らしいですね。
 また、夏の夜空に星くずを集めて流れる天の川を、錦玉の生地の中に大納言小豆の蜜漬けや道明寺など星を表わすものを流し込んで表現したものや、紅色と黄色で作った漉し餡入りの団子で牽牛と織女の二つ星を表わしたものなども存在します。どれも美しく上品なお菓子です。

  ・錦玉(きんぎょく)……錦玉羹とも呼ぶ。煮溶かした寒天に砂糖や水あめなどを加えて煮詰め、流し固めた菓子。見た目にも涼しげなので、おもに夏の菓子に用いられる。

【枝豆】

 大豆を完熟前に、さやつきのまま収穫したものが枝豆です。塩ゆでにしてビールやお酒のおつまみにするほか、すりつぶしてあえ物に使い、また煮つけにもします。18世紀の末ごろから、夏になると江戸には枝豆売りの姿がよく見られたそうです。
 枝豆はビタミンB1豊富で、新陳代謝を促進し、自律神経の調整をしてくれうそうです。 夏バテを予防のためにも、今が旬の枝豆をたくさん食べるのは理にかなっているようですね。
 また、枝豆には大豆には入っていないビタミンCが多く含まれていて、美肌にも効果的とか。さらに、メチオニンというアミノ酸が含まれているのが特徴で、これはアルコールから肝臓や腎臓をまもる働きがあるそうです。ビタミンB1、Cはアルコールの酸化を促進し、肝臓の負担を軽くするので、これらの成分が豊富な枝豆は、まさにビールやお酒のおつまみに最適というわけですね。

茶趣・行事ごと

【七夕(たなばた)の茶】

 七夕の風習と茶の湯との結びつきは深く、色紙、短冊、笹、糸巻、機織り、星、琴、梶の葉、等々にちなむいろいろな道具の取り合わせを工夫して楽しむことができます。
 特に裏千家十一代玄々斎が考案したと伝わる末広籠花入の受筒を水指とし、梶の葉を蓋として用いる、いわゆる葉蓋(はぶた)の点前は、受筒の四角や長方形の金箔を色紙や短冊に見立てた、七夕の趣向の茶として知られています。

【鬼灯市(ほおずきいち)】

 東京浅草の浅草寺(せんそうじ)の境内では毎年7月9日と10日の二日間、鬼灯市が開かれます。昔はこの鬼灯を煎じて飲むと大人の癪や子供の虫封じに効くといわれていたそうです。 
  また、7月10日は四万六千日(しまんろくせんにち)と呼ばれ、この日に観音様にお参りすると四万六千日分の御利益があるのだとか。
 境内には120ほどのほおずきの店が並び、他にも風鈴や金魚など夏の風物が市を飾ります。浴衣を着て団扇を持って、下町風情を感じながらそぞろ歩くのもいいですね。

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