はす はじめてひらく
小暑-蓮始開

新暦7月10日 から7月14日
公開日:2017年7月12日

 清らかな蓮の花が咲く季節になりました。
 蓮はスイレン科の多年生水草です。長い柄についた葉は円く、水面に大きく開きます。夏、水上に伸びた花茎から、紅・淡紅・白色などの大きな花が咲きます。インドの原産で、日本には古く中国から渡来し、池・沼などで栽培されています。根茎は節が多く、晩秋に末端は蓮根として食用になります。また、実も炊き込みご飯などで食べられます。
 蓮は泥水の中から茎を伸ばし、まっすぐに凛とした美しい花を咲かせることから、古より清らかさの象徴とされてきました。蓮の花は夜明けとともに開き、夕刻に閉じ、それを繰り返して3日から1週間で散ります。
 早朝のまだ涼しいころ、蓮の花が開くのをゆっくり鑑賞してみるのも趣があっていいですね。

茶の趣向・心配り

花入

【鉈籠(なたかご)】

 夏の印象とあわせ、野趣のある花入れなどいかがでしょう。
 鉈籠はその名のとおり、きこりの鉈のさや入れの形を花入にしたものです。蔦かずらやあけびの蔓などで編んだもので、掛花入として用います。

【立鼓釜(りゅうごがま)】

 宗旦好みの立鼓釜は、鼓を立てた形をもととしています。
 胴の中央がくびれており、姥口で口造が浅く肩が水平になっています。上下では上の膨らみのほうが大きく作られており、逆に下の膨らみが大きい釜は「瓢箪釜」と呼ばれます。瓢箪の逆、ということで立鼓釜のことを「箪瓢釜」とも呼ぶこともあります。

茶花、季節の植物

【蓮】

 蓮の名前の由来は、花の中心の花托という部分が蜂の巣に似ているところから「蜂巣(ハチス)」と呼ばれるようになり、それがいつしか「ハス」にかわったのだとか。
 蓮の花は仏教とも関わりが深くアジアを中心に大切にされている花ですが、蓮が国花となっているベトナムでは、国を代表するお茶のひとつに蓮茶というものが存在します。蓮の花を摘み取り、花びらとおしべを緑茶の茶葉に何度も絡め、蓮の香りを茶葉に移して作ります。スパイスのような独特の香りが特徴的なお茶です。日本ではあまり見かける機会はありませんが、興味のある方は輸入食品店などで探してみてはいかがでしょう。
 茶花としては、風炉の季節に涼味を感じる花として用いられることが多いのですが、実や茎だけになっても、その枯れた蓮の姿も味わい深いものがあり、炉の季節にもまた楽しめる重宝な花です。

季節のお菓子、食べ物

【稚児餅(ちごもち)】 【行者餅(ぎょうじゃもち)】

 7月の京都は祇園祭一色で、ゆかりのお菓子もいろいろあります。
八坂神社境内にあり創業は室町時代という、京都で最も歴史ある料亭といわれる『中村楼』は祇園祭とも縁が深いお店。毎年、祭の期間中に稚児餅を神前に供え、その後休憩に訪れた稚児に配る習わしがあります。この稚児餅は白餅を田楽に刺し、白味噌をつけて焼きます。それを10本重ねて竹皮で包み、青々とした小笹を刺したものです。
 行者餅は祇園祭山鉾の一つ、役行者山(えんのぎょうじゃやま)にお供えする菓子で、16日の宵山にのみ作られます。江戸時代創業の柏屋光貞(かしわやみつさだ)が製造・販売する銘菓で、小麦粉をクレープのように焼いた皮の中に白味噌餡と求肥と粉山椒を入れ、行者の鈴懸(すずかけ・修験者 が衣服の上に 着る麻の法衣)のようにたたんであります。
 どちらもそのお店で、ごく限られた期間しか販売されない、まさに祇園祭のお味です。

【鱧(はも)】

 ウナギ目ハモ科の海水魚です。アナゴやウナギの近縁で、姿形も栄養も似ていますが、歯の鋭さが違い、その歯で貪欲に食べることから「食(は)む」に由来し、名がついたということです。体長は2mほどのものもありますが、一般には60~70cmが流通します。
 栄養面ではビタミンAが豊富なため皮膚や粘膜を正常に保ち、免疫機能の維持に役立ちます。皮にはコンドロイチン硫酸が多く含まれており、老化防止に効果あるのだとか。 
 旬は6月から7月、とくに梅雨時のものは脂がのって美味しいです。鱧は関西・九州で好まれ、なかでも大阪の天神祭、京都の祗園祭で食べる習慣があります。小骨が多いので、皮を切らずに身だけに細かく包丁を入れる「ハモの骨切り」をする必要があります。ハモチリを梅肉じょうゆで食べたり、照り焼きにするのが代表的な料理法です。祇園祭は別名鱧祭ともいわれるほどで、寿司飯と合わせて棒状に整えた鱧寿司は祇園祭の祝いの席にはなくてはならない、おもてなしの名物料理とされています。

茶趣・行事ごと

【祇園祭】

 日本三大祭のひとつ。7月1日から一ヶ月間にわたり行われる祭りで、京都市東山区の八坂神社(祇園社)の祭礼です。始まりは貞観年間とされており、その歴史の長さとひと月にわたる賑わいから京都の夏の風物詩とされています。
 祭りの大きな特徴は、「山鉾巡行」で、「舁山(かきやま)」「鉾(ほこ)」「曳山(ひきやま)」「船鉾(ふねほこ)」「傘鉾(かさほこ)」といった祭礼の飾り物が巡行されます。また「宵山」と呼ばれる前夜祭などには、京旧家にて各種の銘品宝物の披露が行われます。山鉾自体が多くの美術品で装飾された重要有形民俗文化財であり、この時には普段は公開されていない個人蔵の美術品が見られる機会でもあるため、祇園祭をして「動く美術館」と呼ぶこともあります。

【八坂神社献茶】

 祇園祭は千年以上の歴史ある祭りです。17日がクライマックスの山鉾巡行で、その前日が宵山です。この日、八坂神社で表千家、裏千家の家元が昭和21年以来毎年交代で献茶式をおこなっています。当日は他にも付近数か所で協賛釜(添え釜)が掛かります。
 祇園祭の茶の道具としては、山鉾の絵、鉾にちなんだ車軸釜や立鼓釜(りゅうごがま)、冠や扇形の香合、長刀や稚児の銘のもの、花は祇園守の名がある木槿(むくげ)を使うなど、いろいろ趣向を楽しめます。

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