つちうるおいて むしあつし
大暑-土潤溽暑

新暦7月25日 から7月29日
公開日:2017年7月28日

 二十四節気では大暑の次候にあたるこの候の頃、真夏の蒸し暑さもピークとなります。うだるような暑さが土の水分を蒸発させることを表し、“土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)”。ぐったりするような時期も、古い言葉で聞くと美しく響きますね。
 この時季にはまずクーラーや扇風機の力も借りて、水分補給も怠りなく、熱中症を避けるのが第一です。しかしながら、日本には古くから暑中に涼しさを呼び込む知恵がたくさんありました。水が蒸発するときに周囲から気化熱を奪って気温を下げる効果がある「打ち水」は最近ヒートアイランド現象の緩和に役立つと都市部でも見直されているようですね。
 他にも風鈴や金魚鉢で涼しさを演出したり、浴衣にうちわで夕涼みをしたりと、この暑さならではの風情を積極的に楽しむのもよいのでは。

茶の趣向・心配り

茶碗

【刷毛目茶碗(はけめじゃわん)】

 高麗茶碗の一種です。鉄分の多い素地に白化粧土を刷毛で器面に塗った茶碗です。朝鮮王朝時代初期に鶏龍山などで焼かれました。 
 拝見の際には、刷毛のおりなす面白い景色をじっくりと堪能いたしましょう。

花入

【桂籠(かつらかご)】

 籠花入の一種です。千利休が京都・桂川の漁師の魚籠(びく)を花入に見立てたのが始まりとされています。鮎籠(あゆかご)とも呼ばれ、置花入として用います。
 同じ籠ものとして「魚籠花入」などもあり、少し区別がややこしく感じるかもしれません。桂籠の特徴としては、全体に丸みがかっていること胴が大きく張っていること、丸底、口が窄み、上半分は隙があり下半分は詰んだ編みかたなことなどが挙げられます。
 籠は隙間から風が抜ける感があり、涼やかさがなによりの風炉の季節にはぴったりですね。

茶花、季節の植物

【朝顔】

 ヒルガオ科の一年草で、茎は左巻きの蔓性です。葉には大きな切れ込みがあり、夏の朝、らっぱ状の花を開きます。種子は漢方で牽牛子(けんごし)といい、緩下剤などに用いられます。東アジアの原産で、奈良時代に薬用植物として中国から渡来しました。江戸初期より観賞用として栽培され、多くの品種が作られました。
 茶の湯の世界では、利休が朝顔の花一輪で秀吉をもてなした「朝顔の茶会」が有名です。
 茶花としては、あらかじめ前の晩に切っておき、外に置くと蔓が太陽へ向かって上向きになります。また、掛花入や釣舟入に蔓を垂らして活けるのも趣があります。

季節のお菓子、食べ物

【鏡草(かがみぐさ)】

 この季節、朝顔にちなんだお菓子はいかがでしょう。
  鏡草という銘で、朝顔の花一輪をかたどった型に道明寺羹を流し、中央に淡い紅の餡を置いたものがあります。鏡草は四季にあり、「秋の鏡草」は朝顔の古名だそうです。
 ほかにも、朝顔が早朝につぼみを開き始めようとする、その瞬間の姿を練りきりで写したもの、粉どりという手法で艶消しにした葛で餡を包み、早朝の朝露に濡れた朝顔の情景をとらえたものなど、朝顔を写したものは各種あります。どれも昼にはしぼんでしまう朝顔の儚さが表現された美しいお菓子です。

【西瓜(すいか)】

 夏の甘露の代表といったら、なんといっても西瓜ですね。
 西瓜はアフリカ西南部を原産地とし、4000年前のエジプトですでに栽培されていたといわれるほど、古い歴史をもちます。日本への渡来は16世紀ですが、明治時代に多くの品種が導入され、一般的に普及するようになったということです。なお、西から伝わった瓜という意味から「西瓜」の文字が使われます。
 西瓜の主成分は水分で、90%以上を占めます。カリウムなどのミネラルやビタミンB1・B2・Cを含みます。そのため利尿作用にすぐれ膀胱炎や腎臓病、高血圧や妊娠時のむくみをとる効果があり、疲労回復や夏バテの防止にもなるそうですよ。
 実は生食のほか、シャーベットなどにします。スイカの主な糖分は、低温で甘みを増す性質がある果糖なので、冷やしたほうが美味しくいただけます。美味しい西瓜の目安は、色つやがよく縞がくっきりとしているものを選ぶこと。また軽くたたくと澄んだ音がし、水に入れると浮くものが美味とのことです。

茶趣・行事ごと

【八朔釜(はっさくがま)】

 八朔とは「八月朔日(ついたち)」の略で、旧暦の8月1日のことです。またこの日に行われる行事のこともさします。この日は「田実(たのむ)の節句」ともいい、稲の実りを祈る(頼む)の意味で、昔から農家では神に収穫の祈りをしたり、取り入れ準備の田の水落としを始めたり、と大切な農耕行事の日でした。この豊作を頼む、の意味から転じて、日ごろからお世話になっている人にあいさつに行ったり贈りものをする行事ともなりました。
 茶の湯の世界ではこの習慣が今も受け継がれています。たとえば、8月1日の朝には千家出入りの職方が揃って家元に暑中見舞いのあいさつに訪れ、一服の茶を喫して家元とひと時を過ごす慣わしです。

【隅田川花火大会】

 東京・隅田川花火大会は例年7月の最終土曜日に開催されます。2016年は7月30日(土)に開催される見通しです。その趣旨は「伝統の両国川開き花火大会を継承する行事として、広く庶民に親しまれている隅田川花火大会を開催し、都区民に潤いと憩いの場を提供」するというものだそうです。
 両国川開きは夏に隅田川の川辺で行われる納涼祭で、江戸時代からの歴史があります。屋形船や伝馬船が川を埋め、両岸には人垣ができて、はなやかに花火が打上げられていました。
 隅田川花火大会実行委員会主催で開かれる花火大会は今回で第39回目となるそうです。なお、荒天の場合は翌日7月31日(日)に順延とのことです。

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