寒蝉(ひぐらし)が鳴き始める頃です。
ひぐらしはセミ科の昆虫です。体長4㎝ほどで、体は褐色で緑や黒の斑紋があり、翅(はね)は透明です。北海道南端部から九州に広く分布し、低い山地や丘陵地の林の中で多く見られます。成虫は年1回、 7~9月に地上にあらわれ、林や森で早朝や夕方にカナカナと鳴きます。「かなかな」とか「くつわぜみ」とも呼ばれます。同じ蝉でもみんみんぜみやあぶらぜみは夏の象徴でパワーを感じますが、ひぐらしの声はどこか寂しげですね。夕暮れ時にカナカナと響いてきたら、もう秋がそこまで来ていることを実感します。
この言葉は「青山元不動、白雲自去来」(せいざんもとふどう、はくうんおのずからきょらいす)と対句になっています。青々とした山はどっしりと大地にそびえ、空の白い雲は風に吹かれるままに自由自在に流れていく、という意味です。中国・宋時代に著された禅宗の通史『五燈会元(ごとうえげん)』の中の言葉になります。
荷葉とは蓮の葉のことです。荷葉釜は茶の湯釜の形状のひとつで、口から胴にかけての部分が蓮の葉の形になっている釜です。ひらひらとしたような作りが目に楽しい窯ですね。盂蘭盆会の供養の釜などにも用いられます。
久田宗全(ひさだそうぜん)の考案と伝えられるもので、底のとがった編み方の籠で、柱に掛けると蝉が止まったかのように見えることからこの名が付いたということです。素材は白竹も煤竹もありますが、近年は煤竹や漆拭きの竹が多く見られます。
・久田宗全……(1647~1707)江戸時代中期の京都の茶人。表千家の茶家・久田家の三代目。花入の宗全籠を創案したとされる。手作り茶碗なども多く残す。
マツムシソウ科の多年草です。山地や高原の草地に自生しています。茎は高さ 80cm以上になり枝分かれします。8月から10月頃に径5㎝ほどの薄青紫色の優しい花を咲かせます。一見すると一つの花のように見えますが、菊と同じく頭花と呼ばれるもので、小さな花が集合して一つの形になっています。周囲の小花は唇状に5裂し、中央のものは筒状になっています。
松虫草は姿に趣があるので茶花として好まれる花です。他の花と取り合わせて用いるとよいでしょう。
かつては縁台で団扇を使うのが夏の夕暮れの風物詩でした。その団扇を手のひらに乗る可愛らしいサイズで表現した「団扇」菓子などいかがでしょう。
関西の一部の地域では、お盆の頃によく見かける麩焼きせんべいです。卵白で描いた柄も目を楽しませてくれます。軽い口どけとミニチュアのような外観から、大人から子どもまで愛でる菓子になります。
生姜は東南アジア原産のショウガ科の多年草で、世界各国で栽培されています。日本には3世紀ころまでに中国から伝わったそうです。
生姜独特の辛みや香りにはすぐれた薬効があり、古くから活用されてきたようです。生姜の辛み成分には殺菌力があり、食中毒の予防に効果があり、また、胃液の分泌を促進し、消化吸収を助けます。さらに、新陳代謝を活発にし、血行をよくし、内臓の働きを活発にしてくれるそうです。また、生姜の香り成分は胃を健康にする作用、解毒作用、消臭作用があり、かぜの初期症状、冷え症の改善などに効果があるのだとか。
根生姜は1年中出回っていますが、新生姜は5~8月が旬です。新生姜は辛みが少ないので、そのまま味噌をつけるなどして食べられます。また、薄切りにしてサッとゆで、甘酢漬けにして保存食にし、常備しておくのもいいですね。夏の間、クーラーで冷やされ過ぎた体を、生姜の薬効でぽかぽか温めてみてはいかがでしょう。
先祖を供養する仏教の行事です。7月15日を中心に行われる地方もありますが、全国的には8月中旬に行われます。
茶の湯の世界でも新盆、三回忌、七回忌などの年忌に合わせて供養の釜を掛けることがあります。その際には釜は阿弥陀堂釜や切子釜、荷葉釜など、また茶杓の銘には面影、雲井、しのぶ草、露草、などがふさわしいようです。
祇園祭に始まる、京都の夏の祭りの締めくくりとなる優美な行事です。この送り火は東山如意ケ嶽の「大文字」がもっともよく知られているため「大文字の送り火」とも言われます。8月16日の夜8時頃、東山の大文字、金閣寺大北山(大文字山)の「左大文字」、松ヶ崎西山(万灯籠山)・東山(大黒天山)の「妙法」、西賀茂船山の「船形」、及び嵯峨曼荼羅山の「鳥居形」があり、これらが、同夜相前後して点火され、これを京都五山送り火とよんでいます。
京都の夏を代表する風物詩の一つですが、お盆の行事なので、精霊送りの意味があります。五山送り火が終われば、京都盆地にもそろそろ秋の気配が感じられるようになります。