わたの はなしべひらく
処暑-綿柎開

新暦8月19日 から8月23日
公開日:2017年8月23日

 綿の花を包むガクが開き始める頃のことです。
 綿の木はアオイ科ワタ属の植物の総称をいいます。古くから重要な繊維作物として熱帯から温帯にかけて広く栽培され、日本では江戸時代から盛んになったということです。高さ約1mほど、葉は手のひら状に三~五つに裂け、夏から秋に黄や紅色の5弁の花が開きます。果実は卵形で、褐色に熟すとはじけて、中のたくさんの種に生えた白く長い毛が顔を見せます。これがコットンボール、ふわふわの綿花です。綿の花のガクが開き始める頃というのは、熟した実がはじけ、いよいよ綿花を摘み取る作業が始まる頃のことです。
 二十四節気の処暑の初候にあたるこの時季は、暑さはようやく落ち着きを見せ、朝夕には秋の涼しさも感じられるようになってきます。

茶の趣向・心配り

掛物

【江上数峰青(こうじょう すうほうあおし)】

 この言葉は「曲終人不見、江上数峰青」(曲終わって人見えず、江上数峰青し)と対句になっています。おそらくは琴かと思われる曲を、川のほとりで一曲弾き終わり、ふとあたりを見回してみると、いつの間にか人は誰もおらず、ただ青い山の峰々が川面に映っているのが見えるばかり、というような意味です。孤高な心境を歌った句とされています。これは中国・唐代の詩人、銭起(せんき)の詩集『銭考功集(せんこうこうしゅう)』の中の言葉だそうです。

花入

【経筒(きょうづつ)】

 金属製の置花入です。本来はお経の巻物を経塚に埋納するための円筒形の容器になります。筒形だけでなく六角形もあり、胴には年号や仏像、唐草などの刻文が施されます。蓋はつまみ付きで、宝塔形のものが多く見かけられます。材質は銅製、金銅製、鉄製などがあります。おもに追善供養の茶会などで花入として用いられることが多いです。

茶花、季節の植物

【田村草】

 キク科の多年草です。本州から九州の山地の草原などに自生しています。草たけは1~1.5mほどで、夏から秋にかけて径4㎝ほどの、アザミの花に似た紅紫色の花をつけます。葉は羽状に深く裂け、アザミのようなとげはありません。田村草という名前の由来は不明とのことですが、別名の玉箒(たまぼうき)は、枝が箒のような形になり、その先に丸い頭花が付くからだとか。
 茶花としてはやや渋めの花なので、他の花と混ぜて活けるとよいでしょう。

季節のお菓子、食べ物

【無花果(いちじく)】

 無花果はクワ科の落葉高木です。いちじくの名は、1日に1個ずつ熟す「一熟」に由来するといわれているそうです。また、花が外から見えないまま実がなるので、漢字では「無花果」と書かれます。実のように見えるものは「果のう」と呼ばれるもので、この中で赤い粒状の小さな花が咲き、種となります。
 無花果は大変古くから利用され、特に薬用としての歴史は古く、『旧約聖書』に腫物(はれもの)の薬として登場するほか、古代ローマ時代の書物にも「無花果には体力を回復させる力がある」と書かれているのだとか。
 無花果に含まれる食物繊維ペクチンは腸の活動を活性化し、便秘解消に効果あります。また、果肉から出る乳白色の液には消化を助ける酵素がたっぷり入っています。
 無花果は生の果実が出回るのは盛夏から秋にかけてです。赤褐色に色づき、触ってみると柔らかく、頭が適度に割れたのが食べごろです。

茶趣・行事ごと

【地蔵盆】

 地蔵盆とは8月23日、24日に西日本、とくに近畿地方で盛んに行われる地蔵をまつる子供中心の行事のことです。寺や地域でまつる地蔵尊に飾り付けをしたり供え物をし、そこで子供たちが遊んだり、お年寄りが御詠歌をあげたり、盆踊りをしたりする所が多いようです。
 お地蔵さまは子どもを守る仏であることから、地蔵盆は子ども盆とも呼ばれ、大きな数珠を子供たちで回す「数珠繰り(じゅずくり)」などが行われます。特に子供たちにとってはお菓子や花火がもらえる楽しみなお祭りです。
 地蔵盆が終わると楽しかった夏休みも残りあとわずか。ちょっとさみしい夏の終わりです。

【二十六夜待ち】

 江戸時代、旧暦正月と7月の26日の夜、月の出るのを待って拝むことを二十六夜待ちといいました。夜明け近い午前3時ごろに昇る二十六日目の月は、細く鋭い逆三角形の形をしています。特に旧暦正月と7月の月は出た直後に光が三つに分かれ、月光の中に阿弥陀(あみだ)・観音(かんのん)・勢至(せいし)の三尊の仏が現れると言い伝えられ、多くの人々がその姿を拝むために夜更かしして月の出を待ったといいます。江戸時代、高輪から品川あたりにかけての海辺の高台で盛んに行われ、当時は料理屋や神社の境内が月待ちの客で大賑わいだったそうです。
 この月を拝むと幸運が舞い込むのだとか。ちょっと不思議なかつての行事ですが、この夏の終わりに挑戦してみてはいかがですか。

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