てんち はじめてさむし
処暑-天地始粛

新暦8月24日 から8月28日
公開日:2017年8月28日

 暑さが収まってくる頃です。候名に入っている「肅(さむ)し」は、なかなか見かけることがない漢字ですね。”衰える・縮む”といった意味を持っています。
 立春から数えて二百十日目、2016年は8月31日がその日に当たりますが、昔からこの頃は台風がやってくる時季でした。まもなく稲の収穫期ですから、二百二十日とともに暦に記され、農家では要注意の日とされてきました。そのため、日本各地で作物の無事を祈り、風鎮めの祭りが行われてきたのだとか。
 日中はまだまだ残暑が厳しくても、日が落ちるとずいぶん涼しくなってきました。夕暮れ時には虫たちの声が聞こえるようにもなりました。もう、秋ですね。

茶の趣向・心配り

茶碗

【皮鯨(かわくじら)茶碗】

 鯨手とも呼ばれる味わい深い茶碗などいかがでしょう。茶碗の口縁に掛けた鉄釉が焼成で茶褐色になり、その様子が鯨の皮身を連想させるところからこの名前が付いたのだそうです。唐津が発祥で、その後各地に広まりました。皮鯨の中でも、瀬戸唐津の皮鯨茶碗が特に有名です。

 この頃にあう銘といえば、「露」などが挙げられるでしょうか。露は空気中の水蒸気が冷えて、物の表面に凝結した水滴のことをいいます。季節が巡り、朝晩の空気が冷えて、秋の気配が進んでいることの表れでもあります。
 また、露に関わる言葉がいくつか存在しています。例えば「露の間」はわずかなこと、「露の命」ははかないこと、「露時雨(つゆしぐれ)」は梅雨が一面に降りて雨に濡れたように見える景色のことをいいます。
 茶席では掛け軸の風帯の先に飾りのように結んである糸、花に打たれた露、茶杓の櫂先の先端を「席中の三露」と呼びます。

茶花、季節の植物

【水引(みずひき)】

 水引はタデ科の多年草です。各地の山や野に自生し、高さ50~80㎝になります。茎は多少枝分かれし、葉は広楕円形で互生し、葉面に黒い斑紋があります。8月から10月、細長い穂を伸ばして赤い小花をまばらにつけ、実は卵形で褐色です。名前の由来は、花穂の形が紅白の水引(進物用の包み紙に掛ける細いこより)に似ているからとか。花びらのように見えるガクは上側の3片が赤で、下側は白、それが花軸上にあって、確かに紅白の水引のようにも見えます。
 茶花としては、他の小さな草花と一緒に引き立て役に用いるとよいでしょう。

季節のお菓子、食べ物

【茄子(なす)】

 茄子はインド原産のナス科一年生の野菜です。日本へは奈良時代に中国からもたらされたそうです。薄紫色の花も可愛らしく、花後には次々と実がなります。誰でも比較的簡単に育てられるので、今や家庭菜園で人気の作物ですね。
 茄子の鮮やかな紫色は、ナスニンという色素によります。ナスニンは、アントシアニン色素の一種で抗酸化作用があり、動脈硬化などの生活習慣病の予防が期待できます。また、切り口が黒くなるのは、ポリフェノールを含むためです。ポリフェノールには活性酸素や過酸化脂質の生成を抑え、老化やがんを防ぐ作用があるのだとか。
 茄子は初夏から秋が旬です。ヘタが新しく、皮につやのあるものを選びましょう。茄子はアクが強いのでヘタを落とし、切ってから水にさらしてアク抜きをすることもあります。でもこのアクにはポリフェノールの一種が含まれるので、さらす時間はなるべく短時間で済ませましょう。油炒めや網であぶって、焼き茄子などもいいですね。できれば皮ごと食べることをおすすめします。

茶趣・行事ごと

【おわら風の盆】

 富山県富山市南西部の八尾町で 9月1~3日、町をあげて行なわれる祭りです。風の盆は農作物が二百十日に風の害にあわず豊作となることを祈る行事で、盆踊の一種のおわら踊で風の神をしずめるという意味があるとされています。浴衣に編み笠の踊り手たちが哀切に満ちた越中おわら節に乗って練り歩きます。
 北陸地方の風土と結びついたこの祭りで、小さな町は1年に1度幻想的に活気づきます。

【野菜の日】

 8月31日は「野菜の日」です。1983年に全国青果物商業協同組合連合会など9団体が、もっと野菜について認識してもらいたいとや(8)さ(3)い(1)の語呂合わせから8月31日を「野菜の日」に制定しました。栄養たっぷりな野菜のことをもっと知ってもらうとともに、野菜のPRを目的にしています。
 夏の暑さで食欲が落ちてしまった方もいるのでは。野菜パワーで元気な秋を迎えましょう。

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