つばめ さる
白露-玄鳥去

新暦9月13日 から9月17日
公開日:2018年9月18日

 春、南からやってきた燕が、冬を前に暖かい地方へ去っていく時季になりました。家の軒先などで卵をかえし、子育てを終えた燕たちは再び南へ帰って行きます。ところで、燕のくちばしを見たことはありますか。燕は他の鳥に比べてくちばしは小さいのですが、扁平で横幅が広く、口をとても大きく開くことができます。これは空中を飛びながらハエ、アブ、蚊など小形の昆虫類を捕食するのに便利なように進化したからなのだそうです。また目が大きく、足が小さいことなども燕のように主に飛翔生活をする鳥によく見られる特徴とのことです。
 この時季、南へ去っていく夏鳥の燕のことを表わした言葉に「燕帰る」「燕帰(えんき)」があります。またその逆の渡りをする冬鳥の雁と対にした「燕帰雁来」「帰雁来燕(きがんらいえん)」という言葉もあります。古の人々にとって、燕や雁などの渡りは季節感の大切な指標だったのですね。

茶趣・行事ごと

【秋分の日】

 秋分の日は春分の日と同じく、太陽が真東から昇って、真西に沈みます。そして昼と夜の長さはほぼ等しくなります。この日は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」日として国民の祝日に定められています。
 秋分の日前後の1週間は秋の彼岸です。この期間に春と同じようにお墓参りや先祖供養が行われます。この時、お供えするのがおはぎですね。このおはぎと、春のお彼岸のお供え物の牡丹餅(ぼたもち)、名前は違いますが基本的に同じものです。萩の花の季節の餅はおはぎと呼び、牡丹の花の季節のお餅は牡丹餅と呼ぶようになったのだとか。いずれも邪気を祓うとされる赤い小豆のあんこで作られます。
 秋分の日を境に、だんだんと日が短くなり、秋の深まりが感じられるようになります。

季節のお菓子、食べ物

【初雁(はつかり)】

 この候の鳥、燕と対で使われることの多い雁は、「秋分に来り、春分に帰る」といわれ、この頃より北国から渡ってきます。その雁にゆかりのお菓子があります。
 黒砂糖風味の葛菓子に、雁に見立てた百合根を薄くへいで、散らしたものです。列をなして飛ぶ雁行(がんこう)に心を寄せた古の人々の細やかさが感じられる、風雅な趣きのお菓子です。

【栗(くり)】

 栗はブナ科の落葉高木です。種子は食用に、木材は枕木や建材に、樹皮やイガは染料に、と用途が広く、日本での栗の利用については『古事記』にも記載があるのだとか。古くからわたしたちの生活とかかわりの深い、大切な植物なのですね。
 栄養面では、たんぱく質、脂質が豊富で、でんぷん質も、ビタミンCも比較的含んでいます。熱に弱いのが難点のビタミンCですが、栗の場合、でんぷん質に包まれているので加熱によって失われることなく摂取できる利点があるそうです。ビタミンCは美肌効果、ウイルスに対する免疫力や抵抗力をつけてくれるので、かぜ予防などにも期待できるとか。また、渋皮には抗菌・抗酸化作用のあるポリフェノールの一種であるタンニンが含まれています。
 調理法は、ゆで栗、栗ごはん、甘露煮、渋皮煮など、またマロングラッセ、モンブラン、栗饅頭など美味しいお菓子もいろいろありますね。

茶花、季節の植物

【秋海棠(しゅうかいどう)】

 シュウカイドウ科の多年草です。ベゴニアの仲間で、高さ約50㎝ほどになります。秋、淡い紅色の花が咲きますが、実は秋海棠は一つの株に雄花と雌花が同時に咲く雌雄異花です。垂れ下がるように咲くのが雌花で、上に立って咲くのが雄花です。秋の終わりには葉の付け根に小さいむかごをつけて、それが地に落ちて増えます。中国の原産で、江戸時代に日本へ渡来したそうです。可憐な風情の花が好まれ、庭園や茶庭に観賞用に植えられました。
 名前の由来は、春に咲く海棠(かいどう)に花の色が似ていて、秋に咲くので秋海棠と名付けられたのだそうです。
 茶花としては、日陰を好み、花がうつむきかげんに咲く様子がなんとなく寂しげで風情があり、一種活けも趣があります。また、籠類に他の秋の草花と一緒に取り合わせ、根締めに用いてもよく映えるようです。

茶の趣向・心配り

花入

【旅枕(たびまくら)】

 燕の旅立ちにかけて、旅枕のご紹介です。
 旅枕は現代人にはなかなか馴染みのない銘のひとつとしても挙げられるかもしれません。円筒形で姥口つくりのこれは、これはその名のとおりに旅のときに利用する枕をモチーフとしています。パッと見のかたちでは枕とは思いにくい姿ですね。頭のなかで、ごろりと横に転がしてみると、なるほど枕かもしれないと感じるのではないでしょうか。
 備前焼きのものや信楽焼きのもの、伊賀焼のものなど、多くの作風で制作されています。

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