たちばな はじめてきばむ
小雪-橘始黄

新暦11月27日 から12月1日
公開日:2018年12月2日

 橘の実が黄色く色づく季節になりました。
 橘はミカン科の常緑小高木で、四国・九州・沖縄などに自生しています。初夏には香りのよい五弁の白い花を開きます。その実はみかんなどに比べて小さく、黄色く熟しても酸味が強いため食用には適しません。『古事記』や『日本書紀』の中に不老不死の果物「非時香菓(ときじくのかくのこのみ)として登場しているのが橘だといわれているのだとか。現代の私たちにはお雛様飾りの「右近の橘」としての方がなじみがありますね。
 師走に入り、いよいよ冬本番も目前。この時季、古の人々も橘の緑や黄色を目にして、ほっと心をなごませたのでしょうか。

茶趣・行事ごと

12月2日

【三斎忌】

 細川三斎の忌日に掛けられる釜です。
 細川三斎(1563~1645)は桃山・江戸時代初期の武将で、本名は忠興(ただおき)といいます。織田信長・豊臣秀吉に仕えました。有職故実全般に明るい教養人で、利休七哲の一人に数えられています。利休の茶をもっとも忠実に受け継いだといわれる人物です。夫人は明智光秀の娘、お玉(ガラシャ)として知られます。
 茶道三斎流の流派は熊本と出雲にあります。特に熊本では肥後藩主・細川家の菩提寺泰勝寺(たいしょうじ)跡にある立田自然公園内の茶室で、12月の忌日に釜が掛けられます。

12月2~3日

【秩父夜祭】

 秩父夜祭は埼玉県秩父市の秩父神社で12月3日を中心に行われる祭礼です。京都の祇園祭、飛騨の高山祭と並んで、国内三大挽山祭として知られています。江戸時代の寛文年間(1661~72)の書籍に祭りが行われた記録があり、そこから計算すると300年余り続いている歴史ある祭だということがわかります。
 この祭りの前日には神馬の奉納があります。これは鎌倉時代からの伝承であり、かつてはその馬の毛色により豊凶を占ったということです。祭りがもっとも盛り上がるのは、二台の笠鉾(かさぼこ)と四台の屋台が神輿(みこし)に続いて巡行するシーンです。とくに3日の夜、お花畑と呼ぶ御旅所に全ての笠鉾・屋台が参集する際は大変なにぎわいとなります。また冬の夜空に見事な花火がうちあげられ、祭を盛り上げます。

季節のお菓子、食べ物

【寒菊】

 寒菊は、甘くて香ばしい長崎の銘菓です。江戸時代の初めにあたる寛永年間(1624~1643年)、明国通商貿易の折に長崎に伝わったものといわれています。
 作り方は冬の寒い季節にについた餅を薄く切り、自然乾燥させます。その餅を焼き、生姜を入れた液状の砂糖を数回にわたってかけて衣をつけ、乾燥させて仕上げます。生姜風味の上品な甘さが味わい深い干菓子です。

【柚子(ゆず)】

 柚子は橘と同じくミカン科の常緑小高木で、中国が原産であるといわれています。
 初夏に白い花が咲き、淡い黄色のでこぼこした果実がなります。他の柑橘類に比べて香りが高く、果汁は酸味が強いことが特徴です。そのため果肉を食べるのではなく料理の香り付けやマーマレードなど菓子の材料として利用されます。
 栄養面ではやはりビタミンCが顕著。温熱効果にも優れており、柚子を浮かべた柚子風呂は、寒い季節の健康法として昔から親しまれています。
 また皮を薄くそぎ、飾り切りをして汁物の吸い口にすることもありますね。針のように細く切り煮物などの料理の彩りに用いることもあります。日本料理に香りと彩を同時に添えてくれる心強い味方です。選ぶコツは、香りが良く実に張りがあるものを選ぶことですのでスーパーでじっくり見比べましょう。

茶花、季節の植物

【土佐水木(とさみずき)】

マンサク科の落葉樹で高さ2mから3mほどになります。高知県の山地に自生していることから、名前もそれにちなんで付けられました。葉は倒卵形で、裏面に柔らかい毛が生えています。早春に葉より先に、淡黄色の小花が7~10個の穂状に垂れ下がって咲きます。庭木として観賞用によく植えられます。
 茶花としては、春の終わりのころの花穂が枝一面に下垂した華やかなものよりも、咲き始めのものが、または秋の黄色く色付いた葉がよく用いられます。

茶の趣向・心配り

掛物

【光陰如箭(こういん やのごとし)】

 月日が早くたつことのたとえです。「光陰可惜(こういん おしむべし)」や「歳月不待人(さいげつはひとをまたず)」なども同じような意味で使われます。
 一年の過ぎ去る速さを実感するこの時期だからこそ、静かにこの一年を振り返ってみるのも良いですね。

香合

【福良雀(ふくらすずめ)】

 寒い時季には、雀のフォルムが夏に比べてふっくら丸くなっています。これは寒さ対策として、全身の羽毛を膨らませ、空気の層を作っているため。ダウンを着込んでいるのと同じ理屈にあたります。この状態の雀は“福良雀”と名付けられており、俳句の季語として定着しています。言葉の音から、“福良”とも“福来”とも書かれることがあり、富と幸福を招く冬の縁起物です。
 愛らしさに心をほっこりなごませつつ、皆の福を招きましょう。

茶碗

【大根色絵(だいこんいろえ)】

 大根は大黒様と縁があるとされており、大黒祭りのお供えなどにも頻繁に利用される縁起の良い野菜です。
 また冬至から立春までの間は、夜咄の茶席なども催される時期ですね。夜咄の茶席では宵闇に気を配り、掛け軸は大きな字のものを、花は白のものを選ぶと良いとされています。大根色絵のような白が大きく配置された茶碗も、色の白さが闇のなかで映えることから重宝される茶碗です。

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