きんせんか さく
立冬-金盞香

新暦11月12日 から11月16日
公開日:2018年11月17日

 冬の気配が深まり、水仙の花が咲き始める季節となりました。金盞とは水仙の別名です。盞は盃の意味で、水仙の花を金色の盃にみたててこう呼んだのだとか。
 水仙はヒガンバナ科の多年草です。原産地は地中海沿岸で、日本には平安末期に伝わりました。冬から早春にかけて、黄色や白の香り高い可憐な花を横向きにつけます。雪中花の別名もあり、冬の季語となっています。

茶趣・行事ごと

【紅葉狩りの茶】

 春、桜前線が日本列島を北上するのとは反対に、秋の紅葉前線は9月の北海道から徐々に南下して、各地で美しい自然の風情を楽しむことができます。この季節、紅葉を愛でながらの茶会が紅葉狩りの茶です。戸外に御園棚を持ち出し、澄んだ空気のもと、紅葉に因んだ道具立てを工夫して立礼でお茶をいただくのも趣がありますね。

18日表千家、19日裏千家

【元伯忌(げんぱくき)、宗旦忌(そうたんき)】

 千利休の孫、千宗旦(1578~1658)は利休の侘び茶を継承し普及させ、千家茶道の基礎を築きました。その宗旦(別名元伯)の忌日を、表千家では「元伯忌」として11月18日に、裏千家では「宗旦忌」として11月19日に、それぞれ行われます。

季節のお菓子、食べ物

【銀杏(いちょう)】

 ういろうを黄色く染め、中に黄身餡を挟んでたたみ、銀杏の形を表わしています。色づいた銀杏の葉のやわらかな色合いが美しい主菓子です。
 上に緑色の羊羹で作られた小さな銀杏の葉が乗っているのもかわいいですね。

【林檎(りんご)】

 林檎はバラ科リンゴ属の落葉高木で、その栽培はヨーロッパでは4000年以上の歴史があるそうです。日本で本格的な栽培が始まったのは明治以降からでした。
 林檎は栄養価が高い果物として知られています。まず食物繊維が豊富ですので、便秘解消に効果があります。また、余分なナトリウムを排出する作用があるカリウムも多く含まれるため、高血圧症の改善が期待できます。甘酸っぱい果汁にはクエン酸やリンゴ酸など有機酸を多く含んでおり、胃腸の働きを良くし、殺菌作用などの効果があります。さらに、赤い皮に含まれるアントシアニンという色素は老化を防ぐ抗酸化作用があります。これほどまでに栄養いっぱいの林檎ですから、昔から「林檎が赤くなると医者が青くなる」などということわざが生まれたのでしょうね。
 林檎の旬は秋から冬ですが、比較的日持ちの良い果物なのが頼もしいところ。これからの季節、常備して毎日いただきたいものです。

茶花、季節の植物

【七竈(ななかまど)】

 バラ科の落葉高木です。北海道から九州までの山地山地に自生しています。名前の由来は木の材質がとても堅く燃えにくく、七回かまどで焼いてもまだ焼け残った、ということでこの名が付けられたとのことです。
 茶花としては、初夏に咲く五弁の白い小花も風炉の季節に用いられますが、美しい紅葉や真っ赤に色づいた実も照葉として趣きがあり喜ばれます。

茶の趣向・心配り

掛物

【和光同塵(わこうどうじん)】

 「光をやわらげて、ちりに交わる」という意味です。
 目立ちたい、人から注目を浴びたい、光り輝きたい、という思いを抑え、謙虚さを持つことこそが尊い、ということを説いた『老子』の中の言葉です。

茶碗

【紅葉呉器(もみじごき)】

 呉器とは高麗茶碗の一種で、深い椀形(わんなり)で、高い撥高台(ばちこうだい)が特徴です。紅葉呉器は赤味がある釉肌に火変わりの青味と青灰色の釉なだれや溜りが生まれ、指あとや掛けはずし部分の火間(ひま)があり、紅葉を思わせる変化にとんだ美しい景色がみられるのが特徴です。呉器の中で一番人気の器です。

 ・火間(ひま)……器にかかった釉が縮れたり切れたりしたところから赤褐色に色づいた素地が露出している状態、またはその部分のこと

 このころの天候を表わす言葉に「小春(こはる)」というものがあります。
 小春とはもう冬なのに、まるで春のように暖かな日が訪れることがあります。そんな日は「小春日和(こはるびより)」といいます。また「小六月(ころくがつ)」という言葉もあります。小春は旧暦の10月の異称です。
 寒さが続く中での小春日和には、あたたかな太陽の恵みを。

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