むしかくれて とをふさぐ
秋分-蟄虫坏戸

新暦9月23日 から9月27日
公開日:2018年9月28日

 夏の間、外で活発に活動してきた虫たちが、徐々に寒さを感じとり、土の中にもぐり込む時季になりました。「坏」は「ふさぐ」という意味です。この候は3月の「蟄虫啓戸」と対になる候ですね。
 昆虫たちは土の中や腐さった倒木の中や樹皮の下、また岩や樹の割れ目など温度があまり下がらないところで冬越しします。その形態も成虫だけでなく、卵、幼虫、さなぎなど種類によって異なりますが、その多くは休眠状態になるものが多いそうです。休眠というのは、あらかじめ冬の到来を何らかの手段で察知し、体が寒さや絶食に耐える生理状態になることだとか。例えば、エンマコオロギは卵で、ナミアゲハはさなぎで、ナナホシテントウは成虫で冬を越すのだそうです。
 この時季、わたしたちの知らないところで、熊などの大きな哺乳類から小さな虫たちまで、自然界は冬の準備に大忙しなのです。

茶趣・行事ごと

【宇治茶祭り】

 毎年10月の第一日曜日には京都府宇治市の宇治川河畔一帯で「宇治茶祭り」が開かれます。
 鎌倉時代に栄西禅師の手により初めてお茶の種子が中国から日本に伝えられ、そのお茶の種子は栂尾の明恵上人に贈られ、上人は高山寺で初めてお茶の栽培を行いました。後に明恵上人は宇治に茶園を開きました。宇治茶祭りは、この栄西禅師、明恵上人、そして茶道の始祖千利休の三人の霊を祀り、併せてお茶の史跡保存と宇治茶の振興を図る目的で開催される行事です。当日は宇治橋三の間での名水の汲み上げ、興聖寺(こうしょうじ)でその年の新茶の茶壷口切り、献茶式などが行われます。

【ずいき祭】

 ずいき祭は10月1~5日に行われる京都北野天満宮のお祭です。1日に神幸祭、4日に還幸祭が行われます。北野天満宮の祭神・菅原道真の没後、その臣下たちが西ノ京で農業を営なみ、収穫物を神前に供えたのが起こりとされています。
 屋根をずいき(いもがら、サトイモの葉柄のこと)でふき穀物や野菜で飾ったずいき神輿が出て、五穀豊穣を感謝するお祭りです。神輿全体が野菜でできているという非常に特徴的なお祭りであり、その性質上毎年神輿が作り替えられます。その年だけの神輿をお参りしにいってみてはいかがでしょう。

季節のお菓子、食べ物

【雪月花】

 大分銘菓のお煎餅です。柚子の中皮だけを使い、ゆでであくを抜き、砂糖で練り上げた「甘露柚煉(かんろゆねり)」を、2枚の煎餅にはさみます。皮の色の白、薄青、薄紅はそれぞれ雪、月、花に見立てています。
 口に入れると芳しい柚子の香りが広がる、風雅なお菓子です。

【松茸】

 食用キノコの王様といえば松茸ですね。独特の香りがあり、高級食材の代表格です。松茸はキシメジ科のキノコで、主にアカマツ林に生えます。あの香りの成分には、食欲増進や消化酵素の分泌を促進する働きがあります。また、ビタミンB2やナイアシンが豊富で、皮膚炎の予防や抵抗力を強化するのに役立つのだとか。
 年々収穫量が減り、なかなか手が出ないキノコではありますが、食物繊維も栄養も豊富。秋の味覚としてぜひ味わいたいものですね。代表的な料理には、土瓶蒸しやマツタケご飯などがありますが、香りを楽しむのなら、焼きマツタケが一番とか。香りが飛んでしまうので、くれぐれも水洗いはしないようご注意を。

茶花、季節の植物

【紫苑(しおん)】

 紫苑はキク科の多年草です。山地の草原に自生し、高さ1.5~2メートルになります。夏から秋にかけて、多数の淡紫色の、素朴な花を咲かせます。漢方では根を乾かしてせき止めの薬にするそうです。日本・朝鮮・中国・シベリアに広く分布し、日本では平安時代から観賞用としても栽培されてきたということです。
 日本の伝統色に紫苑色という色があります。紫苑の花のような淡い紫色のことをいいます。紫が高貴な色として尊ばれた平安時代に紫色系の花の名前が数多く色の名に選ばれ、紫苑色もそのころに誕生したとか。
 茶花としては、風情のある花なので、他の草花と取り合わせて活けるといいでしょう。

茶の趣向・心配り

【丸棚(まるじょく)】

 棚のなかでも見目がシンプルなもののひとつとして、丸棚が挙げられます。天板、地板ともに丸く二本足で、天板に棗、地板に水指を壮付けて迎付けを行います。
 丸卓は、中国から伝えられた飾り棚を元として加工し、現在のかたちになりました。木地のものや塗りのものがあり、それぞれ利休好み・宗旦好みとなります。
 炉にも風炉にも用いることができ、いつの茶席にも違和感なく溶け込む優れものです。

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