こうがん かえる
清明-鴻雁北

新暦4月11日 から4月15日
公開日:2016年5月5日

 雁が北へ渡っていく頃のことです。南から飛んできた燕と入れ替わりに、日本で冬を越した雁たちがシベリ方面へ列をなして飛び去る季節です。
カモ目カモ科の水鳥のうち、ハクチョウ類に次いで体の大きい一群の総称を雁といいます。雌雄とも地味な色で、水辺に住み、ツバメとともに日本における代表的な渡り鳥です。マガン・ヒシクイ・サカツラガンなどが秋に北方より渡来し、春、V字形などの編隊を組んで北に帰ります。雁はガンともカリともいい、空を飛ぶ姿が美しいこと、その鳴き声に哀調があることなどにより、古来より数々の歌に詠まれてきました。
 また、青森県津軽の外ヶ浜付近には、海辺に打ち寄せられた木片を焚いて風呂をわかす「雁風呂(がんぶろ)」という風習があったそうです。これは『雁は渡る途中で羽を休めた小枝を浜に置き、春に再びくわえて北に去る』と言われており、そこから『浜辺に小枝が残っているのは雁が死んだためだろう』として、地元の人々がその供養として小枝を焚いて風呂をわかし人々にふるまった、という民話に基づいたものなのだとか。「雁風呂」は春の季語です。

茶の趣向・心配り

【花見団子】

 花見の際に食べるだんごで、特に薄紅色・白・緑の3色だんごのことをいいますが、お茶席では薄紅色・緑・茶のだんごが用いられます。これは、それぞれ桜の花・葉・木に見立てたもので、3色のこなしを使った上品な味わいのお菓子です。串だんごは鉢よりも盆や皿、田楽箱などに盛るのがよいでしょう。

【細魚(さより)】

 3月から4月にかけてが旬であり、春告魚のひとつであるとされているのが細魚です。漢字は「鱵」、「針魚」などといった書き方もあり、その字面からも想像されるようにとても細い姿をもっています。ちなみにサヨリやキスは外見こそ美しい銀鱗なのですが、体内ははらわたを取り出しても真っ黒な薄膜が張りついています。これが『腹が黒い(見た目と異なり、腹黒い)』の語源となったそうです。
 味としては、脂肪が少なくさっぱりとした上品な味わいが魅力です。クセが少ないのであらゆる調理で美味しくいただくことができます。例えば刺身、天ぷら、塩焼き、唐揚げなどなど。はらわたの処理だけ行い、アルミホイルでくるりと巻いて蒸し焼きにしたり、バタームニエルにしてしまうのもおすすめです。

掛物

【花無心招蝶(はなむしんにして ちょうをまねく)】

 この言葉には、あとに「蝶無心花訪(ちょうむしんにして はなをたずぬ)」という句が続きます。
 花はただ無心に咲いていますが、蝶がすっと寄ってきます。蝶も花の花粉を運ぼうと思って花を訪ねるわけではなく、ただ無心に花の蜜を吸うだけです。この関係にはなんの「計らい」も「作為」もありません。その無作為の美しさ、自然の摂理の妙を味わう、というのがこの言葉の意味するものだとか。

 この時季、雁にちなんだ銘はいかがでしょう。
 「帰雁」「雁(かり)帰る」など雁にまつわる言葉も多く、雁が飛び立つ頃の曇り空の雲を「鳥雲」といい、はるか上空から聞こえる風のような羽ばたき音を「鳥風」といいます。

茶花、季節の植物

【宗徧忌(そうへんき)】

 山田宗徧(やまだ・そうへん)(1627~1708)は 江戸前期の茶匠で、千宗旦の高弟である宗旦四天王のひとりであり、宗徧流の祖です。
 東本願寺末寺の京都長徳寺に生まれ、小堀遠州・千宗旦に茶を学び、三河吉田藩主小笠原家に茶頭として仕えました。『茶道便蒙抄(ちゃどうべんもうしょう)』『茶道要録』などの啓蒙書を著し,晩年には江戸に出て利休正伝の茶法を広め、茶の湯の普及に努めました。宝永5年4月2日、82歳で亡くなりました。
 この日、鎌倉の宗徧流家元では流祖像に慰霊の茶を供え、その遺徳を偲びます。 

【エイプリルフール】

 4月1日の午前中に、罪のないうそをついて人をかついでも許される、という風習のことをいいます。ユニークな内容の為か、諸説でている風習となります。もとは西洋もしくはインドに始まるとされており、日本には江戸時代に中国から伝わったといわれています。江戸時代には、この日は「不義理の日」といい、義理を欠いている人にお詫びをする日だったとか。
 “エイプリルフール”という言葉は大正時代に定着し、その頃からうそをついてもとがめられない日として認知されてきたようです。フランスではポアソンダブリル(四月の魚)とよばれ、魚の形の菓子を食べたり、魚の形の紙をこっそり相手の背中に貼るいたずらをしたりする慣習があるそうです。
 基本的にうそをつくのは良いことではありませんが、人を幸せにする素敵なうそ、思わず笑顔になってしまうかわいいうそなら、この日ばかりは良いのかもしれませんね。

【芍薬(しゃくやく)】

 ボタン科の多年草で、高さ約60㎝ほどになります。初夏、大形の紅・白色などの牡丹(ぼたん)に似た花を開きます。咲き方も単弁、重弁さまざまあります。日本では古くから薬用・観賞用に栽培され、多数の園芸品種があります。アジア大陸北東部の原産で、初めは根を薬用とするために日本に渡ってきたようです。漢方では根を乾かして鎮痙(ちんけい)・鎮痛薬とします。顔佳草(かおよぐさ)、夷草(えびすぐさ)の別名があります。
 茶花としては、牡丹と同じように華やかな花のため、一種活けがふさわしいでしょう。花の状態は、蕾が開きかけたあたりが好ましいのではないでしょうか。

季節のお菓子、食べ物

【花くれない】

 きんとんで緑の柳と薄紅の桜を染め分け、京の春の景色を表現しています。餡の中には紅餅種が入っています。「柳緑花紅」の禅語にちなんだ銘です。 

茶趣・行事ごと

【良寛(りょうかん)茶会】

 良寛(1758~1831)は江戸時代後期の禅僧で、俗名山本栄蔵、号は大愚といい、歌人、書家としても優れた業績を残しました。
 昭和24(1949)年に良寛が修業時代を過ごした備中玉島(岡山県倉敷市)円通寺で、その遺徳を偲んで第1回良寛茶会が開催されました。現在では毎年4月の第2日曜日に、財団法人聖良寛奉仕会主催で、各流家元による献茶式も行われるなど、盛大な茶会が開催されています。

【京都御所春季一般公開】

 京都御苑内の御所の見学は、普段は事前に申し込みが必要ですが、春と秋の年2回、申し込みなしに無料で見学できる「一般公開日」があります。毎年、春の公開日は4月上旬の5日間で、平成28年は4月6日(水)から4月10日(日)までの5日間とのことです。春には華道各流派の生け花や、宮中の装束をまとった人形で華やかに飾られ、雅楽の演奏などの催しも行われ、多くの人でにぎわいます。

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