きくのはな ひらく
寒露-菊花開

新暦10月8日 から10月12日
公開日:2018年10月13日

 菊の花が香り高く咲き始める頃となりました。
 菊はキク科の多年草で、日本の秋を代表する花の一つですね。古く奈良時代の頃に中国から渡来したとされ、江戸時代には品種の改良が進み、色、形、大きさも多種多様です。繁殖力が強く、花持ちもいいため、現在では観賞用に世界各地で広く栽培されています。秋には各地の神社などで菊まつりが開かれたり、菊人形の展示も行われ、私たち日本人にとっては馴染み深い花です。
 この菊、実は初めは薬用として渡来したのだとか。強心作用があり中国では現在も優れた薬草として利用されています。ヨーロッパでは菊の仲間のカモミールやタンポポなどが薬効のあるハーブとして長く愛用されてきました。
 菊晴れの青空のもと、菊の花の香りを楽しみに、近くの公園を散歩してみるのも楽しそうですね。

茶趣・行事ごと

【利休のふるさと堺大茶会】

千利休の出身地・堺市では堺まつりの一環として市をあげて大茶会を開催しています。利休が大成した茶道文化を、もっと身近に親しんでもらうと、毎年10月の第3日曜日とその前日に行われ、今年は15日(土)16日(日)を予定しています。利休ゆかりの寺、南宗寺会場では三千家による本格的な茶席がもうけられるほか、大仙公園会場では、多くの市民が参加した野点席・煎茶席、いけばな体験や筝曲の演奏、和菓子・抹茶の販売などが実施され、利休の偉業を偲び茶道文化を楽しみます。

【十三夜】

 旧暦9月13日の夜のことを「十三夜」、その日の月のことを「十三夜の月」といいます。2016年の十三夜は10月13日です。
 旧暦8月の十五夜の月を別名芋名月というのに対して、豆名月や栗名月ともいわれます。また十五夜に次いで月が美しいとされ、「後(のち)の月」ともよばれます。十五夜・十三夜のどちらか一つの月を見るだけでは「片月見(かたみつき)」と呼ばれ縁起が悪いとされ、かつては十五夜にデートしたら十三夜のデートも約束されていたのだとか。十五夜は中国から伝わった風習ですが、十三夜は日本固有の慣わしで、かつては秋の収穫祭の一つだったと考えられています。十三夜のころは気候も安定しているため晴れれば美しい月が眺められるでしょう。栗ごはんをいただいて、お月見をしてみてはいかがでしょう。

季節のお菓子、食べ物

【秋の野】

 薄紫と黄色に染め分けたきんとんで小倉あんを包んであります。上に細く高く作るのが特徴で、圓能斎(裏千家十三代)好みのお菓子です。

【真鯖(まさば)】

 日本近海で獲れる鯖には真鯖と胡麻鯖(ごまさば)の2種類がありますが、秋から冬にかけてが旬となるのは真鯖で、別名秋鯖といわれます。
 鯖は青魚の王さまといわれるくらいに栄養豊富だとか。特に秋鯖は皮下脂肪の中にうま味と香りをしっかりためています。この脂には生活習慣病を予防してくれるIPA(イコサペンタエン酸)や能や発育の機能を維持してくれるDHA(ドコサヘキサエン酸)が含まれているのだそうです。
 鯖は鮮度が命の魚です。生の場合は酢でしめた「しめ鯖」がおすすめです。青魚独特の生臭さが気になるときには、生姜、酒、味噌などで煮付けたり、または塩焼きもおいしいですね。

茶花、季節の植物

【秋の麒麟草(あきのきりんそう)】

 日キク科の多年草で、日本各地の当りの良い道端や山地の草原に自生しています。草丈は80㎝ほどになります。黄色い花がベンケイソウ科の麒麟草に似ているので、和名は秋に咲く麒麟草の意味でつけられたそうです。別名の泡立草(あわだちそう)は小花が集まって咲く様子が、酒を造るときに発酵して盛りあがる泡を思わせることから名付けられたとのこと。
 秋に咲く黄色い花は茶花の中では貴重なので、重宝されることの多い花です。

茶の趣向・心配り

掛物

【秋菊有佳色(しゅうきく かしょくあり)】

 これは「秋菊有佳色 裛露掇其英(つゆをまとうて そのはなぶさをとる) 」と続く、中国の詩人・陶淵明の詩の一節です。秋になりよき色の菊の花が開き、露に濡れたその花びらを摘み取る、というような意味です。詩人はその菊の花を酒に浮かべて、世俗を離れた境地をしみじみと味わったということです。酒と菊をこよなく愛した陶淵明らしい詩の中の言葉です。

 旧暦9月は菊尽くしの月です。「菊月(きくづき)」「菊咲月(きくざきづき)」「菊開月(きくさきづき)」「菊間月(きくまづき)」はどれも旧暦9月の異称です。ほかにも「菊日和」「菊晴れ」など、菊には澄んだ晴天が似合いますね。

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