そらさむく ふゆとなる
大雪-閉塞成冬

新暦12月2日 から12月6日
公開日:2018年12月7日

 天地の陽気が塞がり、重く垂れこめた雲が空を覆う時季になりました。
 この候は、二十四節気の大雪の初候に当たります。“大雪”の名にふさわしく、山はもうすっかり雪に覆われています。北の地域では、平地でも本格的に雪が降り積もってきていますね。
 北国住まいの方だと、雪は寒く冷たくわずらわしいと感じることも多いでしょう。しかし日本人は古くから雪の白さに魅力を感じてきました。例えば「雪月花」は四季の欠かせない美しさの一つです。その他にも「雪花」「雪化粧」「雪峰」「瑞雪」など、雪にまつわる言葉は数多くあります。
 雪は音を吸収するため、自然界では雪が降ると辺りがしーんと静寂に包まれます。しかしながら街に住んでいると、むしろちょうどクリスマスソングが流れる頃。イルミネーションも輝き、にぎやかな年末シーズンを迎えていますね。

茶趣・行事ごと

12月9日、10日

【鳴滝の大根焚き(なるたきのだいこだき)】

 京都市右京区鳴滝の了徳寺で、12月9日、10日に、大根を煮て開山の親鸞上人に供え、信者にも分ける行事です。その起こりは、鎌倉時代、親鸞聖人が愛宕山の月輪寺からの帰り道、この地に立ち寄り説法を行った時、感銘を受けた村人たちが大根を塩味で炊いて上人をもてなしたことに始まるのだとか。
 この行事には3000本もの大根が用意され、前日の早朝から信徒さんたちが大鍋で、油揚げと醤油を加えてべっこう色になるまで煮込みます。毎年多くの参詣者でにぎわう、京都の冬の風物詩です。

季節のお菓子、食べ物

【百合根(ゆりね)】

 食用種の百合の球根で、原産地は中国です。おもにオニユリ、ヤマユリ、スカシユリの球根が食用になります。日本では江戸時代中期ころから栽培されてきたようです。
 主成分は糖質で、他にたんぱく質、ビタミンB類、カリウムなどを含みます。水溶性食物繊維が豊富なので、便秘の改善や、血糖値をおさえ糖尿病を予防する働きも期待されます。また、漢方では、不眠や更年期障害に効果があるとされているそうです。
 ユリ根は和食、特に京料理には大切な食材の1つですね。調理の際は、球形のままで含め煮にしたり、一片ずつはがしたものを下ゆでし、煮ものや和えもの、茶碗蒸しの具などに利用します。熱を加えるとイモのようにホクホクとした食感が味わえます。ほんのり甘く、ほろ苦い味がうれしい百合根は、11月から12月ころに旬をむかえます。

【霜ばしら】

 仙台銘菓の干菓子です。飴を何十回も引き伸ばし中に空気を入れると、細い絹糸がよりあつまったような姿になります。その光沢から白く輝き、まるで冬の早朝の光に照らされてまぶしく光る霜柱のように見えることからこの名がつけられました。
 非常に繊細な作りであり、ちょっとした衝撃でもはらりと崩れてしまいます。その食感は、舌に乗せた途端に消えてなくなってしまう、綿あめのようです。
 製造元は三百余年の歴史を持つ九重本舗玉澤(ここのえほんぽたまざわ)です。延宝三年、仙台城下国分町に『御用御菓子司』として開業した老舗になります。気温が高いとうまく製造できないため、販売は秋口に始まり、翌年の春までの冬季限定品です。冬のお楽しみとして味わってみてはいかがでしょう。

茶花、季節の植物

【満天星躑躅・灯台躑躅(どうだんつつじ)】

 ツツジ科の落葉低木で高さは2~3mほどです。春、若葉とともに多数の白い壺形の小花が下向きに咲きます。山地に生え、静岡県以西の本州から九州に分布していますが、観賞用に植えられることが多いようです。
 この花、名前が少し変わっていますよね。由来は枝が放射状に出ている様子が、かつて宮中などで夜間に明かりとして使われた「結び灯台」の脚に似ていることからだといわれています。灯台に似ていることから灯台ツツジといわれ、それから転訛したということです。また、春に咲く小さな白い花が満天の星のように美しいので満天星と書いてどうだんつつじと詠ませるようにもなったのだとか。
 茶花としては、この季節、美しい紅葉が典型的な照葉として好んで用いられます。

茶の趣向・心配り

掛物

【山中無暦日(さんちゅう れきじつなし)】

 中国の唐時代の詩人・太上隠者(たいじょういんじゃ)の詩「人に答う」の中の一文です。その意味は、山の中に閑居していると、世間とかけ離れてのんびりしているので、年月の過ぎるのも忘れてしまう、というようなことです。『唐詩選』に収められています。

薄器

【金輪寺(きんりんじ)】

 日本で作られた茶道具のうち、塗り物のなかでは最も古いもののひとつです。かつて後醍醐天皇が金輪寺で使用した蔦の茶器をもとにしたともいわれています。経筒を見立てのが由来という説もあり、古いが故に多くの伝承をもっています。塗りの美しさをしみじみ愛でたくなる薄器です。

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