せきれい なく
白露-鶺鴒鳴

新暦9月8日 から9月12日
公開日:2018年9月13日

 水辺にすむ鶺鴒(せきれい)が「チチィ、チチィ」と鳴き交わす頃になってきました。
 鶺鴒は雀より少し大きい鳥で、長い尾をもち、それを上下に振りながら水辺を歩き回り、虫を食べる習性があります。その様子から「いしたたき」とか「にわたたき」などとも呼ばれます。国内ではキセキレイ・セグロセキレイ・ハクセキレイなどが繁殖しています。
 鶺鴒は普段あまり馴染みのない鳥かもしれませんが、川や水田など水の近くで比較的見つけやすい鳥です。秋のバードウォッチング会などでは、よく見られる鳥ランキングの上位にあげられるそうです。
 秋の澄んだ空気の中、鈴のような高い声で鳴きながら、波型を描くように飛び交う姿を探してみるのも楽しそうですね。

茶趣・行事ごと

【月見の茶】

 中秋の名月とは旧暦8月15日の月のことをいいます。
 月の満ち欠けは毎月あるのになぜこの月が名月なのでしょう。それはこの時季が稲が実る大切な季節であり、実りを感謝するという農耕行事と重なり、お月様に新穀をお供えして祭る風習が生まれたことからなのだとか。
 また蒸し暑かった夏が終わると、秋の空はことのほか高く澄んでいるように感じられます。そんな涼しい夜に見上げる十五夜の月は、いつもに増してまあるく、大きく輝いて見えるのではないでしょうか。
 この風習が茶の湯にも取り入れられ、名月を楽しむのが月見の茶です。月にちなんだ茶道具はいろいろありますね。例えば、釣舟や杵形の花入、望月釜や園城寺釜といった釜、棗は望月棗や既望棗、茶杓の銘には月の雫や玉兎などを取り合わせては。

【天然忌(てんねんき)】

 表千家7代如心斎宗左(1705~1751)は6代覚々斎の長男で、別号を天然といいます。
 如心斎は当時の茶の湯に新風を入れるため、裏千家をついだ弟の8代千宗室、援助者の三井八郎右衛門らと茶事の「七事式(しちじしき)」をさだめました。これは、都市における茶道人口の増加にともなって考案された一種の集団稽古ともいうべきもので、七事式により稽古の面白さを工夫したということです。また全国的な流派の普及にともなって家元制を整備するなど積極的に時代に対応し、表千家の中興につくしました。
 祥月命日は8月13日ですが、表千家ではひと月繰り下げた9月13日に供養の釜が掛けられます。

季節のお菓子、食べ物

【月見団子(だんご)】

 旧暦8月15日は中秋の名月ですね。この日にちなんだ和菓子といえば、月見団子でしょうか。 月見だんごは米の粉に砂糖を混ぜて練りあわせ、丸くまるめて蒸しあげます。丸いお月様に見立て、名月にお供えする団子ですね。この時には団子のほかに薩摩芋や里芋、枝豆や芒なども供えますが、これはちょうどこの時季が稲や芋類の収穫時期にあたることから、作物を供えて収穫に感謝するという意味もあるのだそうです。

【里芋(さといも)】

 十五夜のお供え物といえば、芒に月見団子、そして里芋です。里芋を供えてお月見をするので中秋の名月は別名「芋名月」とも呼ばれます。
 里芋は熱帯アジア原産のサトイモ科の多年草で、日本への渡来は古く、縄文時代にはすでに栽培されていたとの説もあるようです。また各地で祭りの重要な供え物とされてきました。名前の由来は、山でとれる芋を山の芋といったのに対し、里でとれる芋なので里芋と呼ばれるようになったのだとか。江戸時代以前は、芋といえば里芋のことを指すほどポピュラーな食べ物でした。
 里芋には独特のぬめりがあります。これはガラクタンやムチンという成分で、血圧やコレステロールをさげる効果があるそうです。また、里芋は食物繊維も豊富なので、便秘改善にも役立ちます。
 里芋料理といえば煮物がまず挙げられますが、里芋のコロッケやサラダ、そして小芋の素揚げなどでも美味しくいただけます。 

茶花、季節の植物

【芒(すすき)】

 イネ科の多年草です。茅(かや)とも呼ばれます。広く東アジアに分布し、日本各地の山野や土手など日当たりのいい場所に普通に見られます。地下には枝分かれした短い根茎があって、株を大きく成長させ、毎年地上に茎を伸ばし、高さは 2mほどにまでなります。8月から10月に花が咲きますが、その花穂の形が何か動物の尾のように見えるため尾花とも呼ばれ、秋の七草の一つに数えられます。
 芒は屋根をふく材料として古くから利用されており、『万葉集』にもその情景が歌われているとか。また、炭俵や草履、ほうきなど生活用具の材料にも利用されてきました。今月は中秋の名月ですが、お月見に欠かせないのが芒の尾花ですね。
 茶花としては、花穂がなくても葉だけを他の花と一緒に活けてもいいですね。また、季節が進み、霜枯れとなった枯尾花を名残り花として用いるのも、また風情があってよいようです。

茶の趣向・心配り

【望月釜】

 望月釜は、下部に山のような景色が美しい丸釜です。これは銀山であり、銘をつけたのは足利義政であるとされています。華美な装飾ではなく、そっと鋳込まれた銀筋の風景がいかにも義政好みであるように思われます。

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