ぼたん はなさく
穀雨-牡丹華

新暦5月1日 から5月5日
公開日:2016年5月5日

 庭先で、牡丹の花が咲く頃のことです。
 牡丹は、花色も咲く姿も艶やかで優雅そのもの。中国では「花の王」とされ、古くから人気の高い花です。鮮やかな赤紫を表わす「牡丹色」は日本語の色名では代表的な名前となっていますが、これは牡丹の花の花弁の重なりによって見える、濃い赤紫からとられた色名だということです。
 また、「獅子に牡丹」という言葉がありますが、これは獅子の勇姿に花の王である牡丹を配した図柄のことで、取り合わせのよいもののたとえでもあります。
 清楚で可憐な春の花から、華やかな初夏の花へと、季節は確実に進んでいます。

茶の趣向・心配り

【豊祥棚】

 この時期「炉塞」が行われ、風炉に切り替わりはじめます。そのような時期、豊祥棚は炉・風炉ともに用いることが可能です。
 豊祥棚は天板・地板が共に楕円形であり、桑木地の三本柱となっています。また団扇形をした透し紋様をほどこした腰板がはめられています。この意匠は淡々斎碩叟宗室好みとされています。

  ・千宗室(せん そうしつ)…… 茶人。裏千家十四代家元。十三代千宗室の長男。号は碩叟、淡々斎であり“淡々斎宗室”の名で知られる。1940年に全国組織の淡交会を設立し、裏千家発展の基礎を築いた。また国際茶道文化協会を設立しており、海外に茶道文化を伝えた。

茶花、季節の植物

【牡丹】

中国北西部原産のボタン科の落葉低木です。高さ1~3m内外になり、5月ころ新しい枝の先に径15から25cmほどの大輪の、白または赤紫の美しい花を開きます。中国から日本への渡来の時期ははっきりしていませんが、鎌倉、室町時代には寺院や庭園などに広く植えられるようになりました。江戸時代の元禄・宝永年間(1688~1711)には花の観賞が盛んになり、品種改良が進みました。
 牡丹には「富貴草」「富貴花」「百花王」など、その花の豪華さをたたえる別名がいくつかあります。
 茶花としては、たいへん格のある花とされているため、花入れも青磁や胡銅など格調高いものを選んで、花だけを入れるのが一般的とされています。また大輪の花なので、開花しきったものより蕾か開きかけが好ましいでしょう。

季節のお菓子、食べ物

 5月5日の端午の節句を目前にしたこの時季には、茶会の趣向は節句にちなんだもの一色となり、茶菓子もまた粽や柏餅ということになります。 

【粽(ちまき)】

 もち米を主材料とした餅菓子の一種で、中国から伝来したものだそうです。笹、茅萱(ちがや)、竹の皮などで巻き、い草で三角形に縛って作ります。古くから端午の節供の祝いに用いられてきました。チマキの名は、かつては茅萱で巻くのが一般的だったために付いた名だとされています。

【柏餅(かしわもち)】

 米粉の餅で餡を包み、柏の葉で巻いて作ります。端午の節句には欠かせないお菓子です。
 柏の葉は、枯れても枝から落ちずに翌年新しい芽をつかることから、家系が絶えない縁起物として、江戸時代から関東地方で男の子のお祝いに用いられるようになったということです。

茶趣・行事ごと

【炉塞(ろふさぎ)】

 茶の湯では、炉を炉蓋や畳で塞いで風炉にかえることを炉塞といいます。
 4月も末になると、翌月からの爽やかな風炉の季節がすぐそこに待っています。それはまた、昨年の11月から半年間、慣れ親しんできた炉とのお別れの季節でもあります。このころ、炉を塞ぐ日を前にして、炉とのしばしの別れを惜しんで、行く春を感じながら茶会を行います。

【八十八夜】

 立春から数えて 88日目の日のことで、現行暦では5月1日から2日頃にあたります。八十八夜を過ぎれば遅霜の心配もなくなるので、農家ではこれを種まきや茶摘み、その他の農作業開始の基準としています。2016年は5月1日がその日にあたります。
 静岡などのお茶の産地では、ちょうどこのころから茶摘みが始まります。日本人には初物をいただくのは縁起がいいとして好む風習があります。特に八十八夜の新茶は「飲むと寿命が3年伸びる」などともいわれ、珍重されています。この頃、最初の新芽を摘んだ茶は一番茶と呼ばれ、質も良く、うまみ成分であるテアニンも多く含まれているそうです。
 「今年一年をどうぞ健康に」と願って、八十八夜の新茶をゆっくりと味わってみるのも良いですね。

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