ち はじめてこおる
立冬-地始凍

新暦11月7日 から11月11日
公開日:2018年11月12日

 夜の気温が下がり、土が凍るほどになるのが「地始凍」。寒さにより霜柱が立ち、土の上にうっすらと白銀が膜が張る景色を見ることができます。子どもも大人も、霜柱を見つけると心が浮き立ちますね。歩むたびに、シャクシャクと鳴る音は乙なものです。
 朝夕の寒さが厳しくなってくる頃ですが、冬の訪れを目と耳で同時に愉しむことができます。

季節のお菓子、食べ物

【初霜(はつしも)】

 諏訪の銘菓「初霜」は、美しい純白が霜を思わせる氷餅です。
 この時期の冷えを利用して、粳米を乾燥させてつくられます。軽い食感とほのかな甘みを持ち、茶との相性が抜群です。

【大根(だいこん)】

 調理法が豊富であり、ビタミンやカルシウム、ジアスターゼといった栄養価も高いことから長く愛されている野菜です。古くは『日本書紀』などに「おおね」として名が記されています。
 味が染みやすいので、ほっこりとした煮込み料理には引っ張りだこ。特におでんには欠かす事のできません。一本まるごと買うとなかなか一食では食べきれませんが、その時には葉を落としてから保存しましょう。大根の味わいは水分量が肝要。葉が付いたままでは、葉が根の水気を吸い取ってしまいます。切り落とした葉にもカロチンなどといった栄養素が多く含まれているので、炒め物などでいただきましょう。

茶花、季節の植物

【石蕗(つわぶき)】

 艶々とした緑葉と、黄色く明るい花弁が愛らしい花です。日陰でも育つことから、灯篭や庭石の陰に身を寄せるようにして咲かせているお庭もあります。名前の由来は「艶葉蕗」から。艶のある葉をもつ蕗、すなわち「ツヤハブキ」が転じて、つわぶきの音となりました。秋も深まり他の花々が褪せてゆく中、艶ある緑は益々輝いて見えます。また、茎や葉は打撲・火傷の薬になることからも長く愛されてきました。

茶の趣向・心配り

掛物

 この時期の掛物は、秋の景観を愛でるものや時の流れを扱ったものが主流となります。11月半ばから師走にかけては、何かと忙しないことが多い季節。だからこそ茶席で心を落ち着かせ、周囲に目を向ける余裕を得たいものです。

【枯木龍吟(こぼくりょうぎん)】

 枯れていると思っていた木が風に吹かれ、まるで龍が吠えたかのように音を鳴らすこと。禅宗の言葉で、一度全てを投げ出して命を得ることや、生命力を再び得ることにも例えられます。秋から冬の時期に似合う掛物です。

【壺中日月長(こちゅう じつげつながし)】

 壺の中に仙境があり、その中の時がゆったりと流れているという異界譚から。壺中は悟りを得た仙人が入るということから、『心のもちようで時の過ごし方が変わる』というような意味を示唆させることもあります。日が短くなってくる頃合いや、忙しない日々を一度落ち着かせるような時に用いるとよいのではないでしょうか。

香合

【宋胡録(すんころく)】

 炉の季節になりましたので、春までは練香の出番です。練香は湿気があるため、漆器を避けて 秋は植物の色も味も冴える季節、香合の種類としては「柿」「銀杏」「しぐれ傘」「菊置上」「扇」などがふさわしいでしょう。例えば宋胡録の柿など、小さな姿でいて可愛らしさと存在感が同居しています。
 宋胡録はタイで13世紀から16世紀にかけて制作された古陶です。日本には桃山から江戸時代に輸入され、その際に原産地の地名であるスワンカロークが訛って「すんころく」と称されるようになりました。紋様に良い景色のものが多いので、自分好みの一品を持っておくと愛で甲斐があります。

茶碗

【狂言袴】

 碗の中央に印があり、それが狂言で着る袴の模様を想像させる茶碗です。造りとしては高麗青磁の流れを汲んでいます。
 茶碗のなかでも一癖ある趣で、見目が面白いものです。

 ちょうどこの頃合いに吹き始める木枯らしから「木枯らし」「木枯」の銘や、情景豊かな「蔦紅葉」「峯の紅葉」などが好まれます。
 もしくは11月といえば、七五三がありますので、「宮まいり」なども似合いの銘でしょう。「朝霜」「霜夜」なども、「地始凍」を想起させてこの頃によくあった銘です。

茶趣・行事ごと

【光悦会】

 京都光悦寺にて、毎年11月11日~11月13日に催される茶会です。本阿弥光悦を偲び、全国の茶人・古美術商が集います。全国から名のある茶器が集まり披露される様は、圧巻の一言。大茶会として、大虚庵をはじめとしたいくつかの庵にて茶席が開かれます。
 ・本阿弥光悦(1558~1637)……書家、陶芸家、芸術家。和様書道の流派「光悦流」の祖。その独自の書体の美しさから「寛永の三筆」とも呼ばれる。陶芸家としての代表作には、国宝「楽焼白片身変茶碗」など。

【有楽忌】

 建仁寺正伝永源院にて、毎年11月13日に催される供茶です。織田有楽斎を偲び、釜が掛けられます。侘び茶の雅趣を汲んだ独自の茶風を味わうことができます。
 ・織田有楽斎(1547~1621)……大名・茶人であり茶道「有楽流」の祖。織田信長の弟で、千利休に茶道を学んだ。利休七哲の一人。茶室「如庵」、毎年10月10日過ぎに開かれる「如庵茶会」も有名。

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