くま あなにこもる
大雪-熊蟄穴

新暦12月7日 から12月11日
公開日:2018年12月12日

 冬もいよいよ深まってきました。山では熊が冬眠のために穴に隠れる時季です。候名に入っている“蟄”は、生き物が土の中に隠れることを意味しています。
 日本にはツキノワグマ・ヒグマと2種の熊が生息しています。そのうち北海道に棲むヒグマは、大人の雄の体重が150~300㎏。さらに中には500㎏を超える個体もおり、国内の陸棲哺乳類では最大の種です。雑食性で、木の実・草・昆虫・鮭、時には鹿も捕食する逞しい動物です。秋に栄養をたっぷりとったヒグマは12月頃には冬ごもりに入ります。冬ごもりに入ると3~4月頃まで、ずっと穴の中で冬眠します。冬眠中は絶食しているため、体温は4度ほど下がり、心拍数も4分の1以下になるのだとか。しかも妊娠中の雌は穴の中で1~3匹の子グマを出産し、母グマは絶食しながら春まで穴の中で母乳を与えて子育てをします。なんとも不思議な生態を持つ動物なのですね。

茶趣・行事ごと

関東は8日、関西は13日

【事始め】

 関東ではコトノカミの祭祀を行う8日、関西では「婚礼以外はすべて吉」といわれる「鬼宿日(きしゅくび)」の13日のことをいいます。この日を過ぎると煤払い、松飾り、餅つきなどの正月行事が始まります。
 京都・祇園の京舞の家元では、12月13日に芸妓・舞妓さんたちが「おめでとうさんどす」とあいさつに訪れ、家元は「ようおきばりやす」と答えます。祇園の一年はこの「事始め」の行事から始まるといわれます。あいさつの帰りには新しい稽古用の舞扇をもらって帰る習わしだそうです。

12月15日~16日

【世田谷ボロ市】

 世田谷ボロ市は、天正6年(1578年)に小田原城主北条氏政がこの場所に楽市を開いたのが始まりです。“楽市”というのは、市場税を一切免除し自由な行商販売を認めるというものでした。
 名前に「ボロ」だなんて、なかなかユニークですよね。これは古着・古道具・農具・農産物等のユーズド品、つまりは“ボロ”を持ち寄って始まったことからだといわれています。しかしながら現代では食料品・装身具・玩具・植木市・骨董品なども出品されており、一概にボロばかりでもありません。それもあってか露店数は約700店にもなり、毎年多くの人々でにぎわいます。
 この市は現在では東京都の無形文化財にも指定されています。ちなみに市の名物は代官餅で、つきたての餅が餡、きなこ、からみ味でいただけるのが人気です。

季節のお菓子、食べ物

浦田甘陽堂

【愛香菓(あいこうか)】

 城下町金沢で生まれた新感覚の焼き菓子です。小さな四角形のお菓子を摘み、口に含むとほろりとほどけ、レモンとシナモンの香りが広がります。これを干菓子というにはやわらかく、口当たりはなめらか。和菓子というよりは洋菓子のイメージですが、雪のようなほろほろ食感や奥ゆかしい風味は薄茶にも不思議とよく調和します。

【牡蠣(かき)】

 牡蠣は古くから「海のミルク」といわれるほど栄養が豊富で、スタミナ不足の解消、病後・産後の回復などに効果があるとされてきました。実際、牡蠣はミネラルやうまみ成分をたっぷり含んでいます。なかでもタウリンは、血中コレステロール値を減少させたり、血圧を正常に下げる作用をするのだそうです。
 選ぶ際は光沢があり、身がふっくらと丸く盛り上がり、縁の黒みが鮮やかなものを。調理する前には、ダイコンおろしか濃い食塩水の中で洗うと汚れやぬめりが落とせます。レモン汁を振りかけ生食のほか、酢ガキ、鍋もの、フライなどでもおいしくいただけます。ただし、熱をとおしすぎると身がかたくなり、風味も無くなりますので、ご注意を。

茶の趣向・心配り

茶碗

【塩笥茶碗(しおげちゃわん)】

 口が締まり、胴が膨らんだ小壺形です。もともとは朝鮮半島で塩入れに使っていた器で、これを茶人が茶碗や火入、香炉などに見立てました。
 口が締まっていることから茶が冷めにくく、よく手になじむ形です。寒い季節に似合いの茶碗のひとつといえるでしょう。

水差

【浦千鳥(うらちどり)】

 言葉に二重の意味をもたせることを「掛詞」などと呼びます。この水差しの名称である浦千鳥もそのひとつで、うらに“浦”と“裏”の言葉を掛けてあります。浦千鳥は浜辺に集う鳥を表す意匠ですが、それを蓋の裏に散りばめることで蓋の“裏”にも掛けているということですね。
 ひとつの音で複数の意味を持たせることができるのは日本語の特性であり、古来よりこの技法を活かして様々な和歌が詠まれてきました。時にくすっと笑えるような言葉遊びであり、時にじっくり考え込んでしまうような意味を含んでいることがあります。茶道具や掛物にかかる句のなかにも多く用いられているので、機会があれば調べてみると新たな発見も多いでしょう。

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