みみず いずる
立夏-蚯蚓出

新暦5月11日 から5月15日
公開日:2016年5月11日

 みみずが地上にはい出てくる頃のことです。蚯蚓(きゅういん)とはみみずの別名です。
 普段みみずのことをじっくり見ることはないかもしれませんが、よく見るとみみずには環節(かんせつ)という節がたくさんあります。そして円筒形の細長い体をしており、片方に膨らんだ部分があります。これを環帯(かんたい)といい、こちらが頭側になるそうです。多くは土の中に住み目はありませんが、光を感じる細胞があるのだとか。腐植土を食べ、その中の有機物を栄養として生活しています。
 みみずが活発に動き回ると田畑が栄養豊かになり、空気をたっぷり含んだ植物にとって育ちやすい土となります。みみずと聞くとちょっと苦手な方も多いようですが、実は土壌改良を手助けしてくれる、とても大切な存在なのですね。

茶の趣向・心配り

茶碗

【斗々屋茶碗(ととやちゃわん)】

 高麗茶碗の一種で、鉄分を多く含む赤茶の素地に釉がうっすらとかかったものが多くなっています。「本手斗々屋」と「平斗々屋」に大別されており、本手斗々屋はやや深めで椀形、平斗々屋は浅形です。先述したように赤茶色が主流ですが、青みなどのかかったものもあり、そちらがより珍重されています。
 “斗々屋”は「魚々屋」と書くこともあり、利休が魚屋の棚から見出したためであるという説や「斗々屋」という名の商人が所持していたからという説があります。「利休斗々屋」や「彩雲」「さわらび」などが特に名高い一品です。

 青葉薫るこの時季、「青嵐」「若葉風」「青葉風」「薫風」などの銘はいかがでしょう。
 「青嵐(あおあらし・せいらん)」は初夏の新緑から青葉の頃、青々とした林や野山を力強く吹き抜けてくる、少し強めの風のことをいいます。また、青々とした山のことをいうことも。
 「若葉風」「青葉風」は新緑の中を吹き渡る風のことで、「薫風」はさわやかに吹く初夏の風のことをいいます。どの言葉からも、新緑のすがすがしさが伝わってきますね。

茶花、季節の植物

【白雲木(はくうんぼく)】

 エゴノキ科の落葉高木です。日本各地の山地に自生しており、高さは6mから15mほどになります。葉は大きく円く、葉裏は白色です。5、6月ごろ、新しい枝の先端に、長い柄を持った多数の白い花が総状に垂れて咲きます。白雲木という名前は、白い花が樹上に満開になった時、白雲のように見えるから付けられたのだとか。
 茶花としては、葉や花があまり大きくなりすぎないうちに、他の花を根締めにして活けるとよいでしょう。 

季節のお菓子、食べ物

【落とし文(おとしぶみ)】

 初夏のこの時季、林などを歩いていると、くるりと巻かれた緑の葉が地面に落ちているのを見かけることがあります。まるで木の葉の手紙のようですが、実はこれはオトシブミ科の甲虫の巣です。
 本来の”落とし文”は江戸時代に使われた手法で、手紙を巻いて端を折り結んで”結び文”の形にします。それを道や廊下に落としておいたもののことです。主に公然とは言えないことを文書にした時に用いられました。落ち葉の形がこの巻き紙に似ていたので、古くは「鶯の落とし文」や「ホトトギスの落とし文」などと呼ばれたそうです。そこから転じて甲虫の名前がオトシブミと付けられたのだとか。
 この甲虫の巣をかたどったお菓子があります。こし餡を、緑に染めて葉の形に作ったこなし生地で巻いた「落とし文」です。晩春から初夏にかけて茶席菓子として用いられ、初風呂のころの風物詩となっています。

茶趣・行事ごと

【葵祭の茶(あおいまつりのちゃ)】

 葵祭は京都の賀茂御祖(かもみおや)神社を正式名称とする下鴨神社と、賀茂別雷(かもわけいかづち)神社を正式名称とする上賀茂神社の例祭で、5月15日に行われます。古くは賀茂祭、または北の祭りともいわれていましたが、御所から神社へ向かう平安貴族にならった行列で、牛車や衣冠にフタバアオイを飾ることから、葵祭と呼ばれるようになったということです。平安時代には、京都の貴族の間で「祭」と言えばこの祭りを指すとわかるほどに、代表的なお祭りだったとか。今でも「京都三大祭り」のひとつとされています。
 この祭りの特徴は、平安時代以来、国家的な行事として行われてきたので、日本の祭のなかでも、数少ない王朝風俗の伝統が残されていることで、例年、国内外の多くの観光客で大変なにぎわいとなります。
 この祭りに寄せて、5月17日には上賀茂神社で表千家と裏千家が隔年交代で献茶式を行い、また境内の副席では茶会が催されます。葵祭の茶の趣向としては、たとえば祭りを詠んだ掛物、御所車にちなんだ車軸釜、競馬(くらべうま)に寄せた呉須菱馬の水指、馬の絵茶碗などがあります。

【珠光忌(しゅこうき)】

 侘び茶の祖・村田珠光(1423~1502)を偲んで、若いときに修業した奈良・称名寺(しょうみょうじ)の独廬庵(珠光庵)で法要と献茶が行われます。毎年、忌日の5月15日前後の第2日曜日が開催日ですが、2016年は5月15日がその日にあたります。
 珠光は奈良に生まれ、上洛して大徳寺の一休宗純指導の下で禅の修行を行い、茶の湯に開眼し「茶禅一味」の境地を会得したということです。

  ・茶禅一味……茶道は禅から起こったものであるから、求めるところは禅と同一であるべきであるの意。茶禅一致。

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