うめのみ きばむ
芒種-梅子黄

新暦6月15日 から6月19日
公開日:2016年6月16日

 梅の実が黄ばみ、熟す頃合いです。それとちょうど時期を同じくして、長い雨の季節を迎えます。これを「梅雨(つゆ)」といいますが、「青梅雨(あおつゆ)」という呼び方もあるそうです。新緑の木々にしとしとと降り続ける雨という印象の、美しい言葉ですね。
 また梅雨の季節に入ることを「入梅(にゅうばい)」といいます。この他にも梅雨にちなんだ言葉は多く、「走り梅雨」「戻り梅雨」「梅雨寒(ざむ)」「空(から)梅雨」「梅雨の晴れ間」「梅雨の中休み」などが存在します。古来より、1年の中でもこの季節がなにかと気にかかる時季でもあり、空模様もなかなか安定しない頃だからなのでしょうか。
 梅雨というと、なかなか良い印象をもっていない方も多いです。しかしそのような時だからこそ、梅雨明けを心待ちにしながら、しっとりと落ち着いたひと時を楽しんでみるのもよいのでは。

茶の趣向・心配り

茶碗

【雨漏(あまもり)茶碗】

 高麗茶碗の一種です。朝鮮王朝時代前期に作られた茶碗で、まるで家の壁にできた雨漏りのしみのような柄をもっています。これは素地が比較的柔らかいためで、こうした茶碗は長く用いているうちに釉面の細かな気泡やひびから液体が染み込んでいきます。その情景がまるで雨漏りでできた壁のしみのように見えることから、この名がつきました。茶碗ひとつひとつによって異なるこのしみを、景色に見立て味わいます。 

水指

【釣瓶水指(つるべみずさし)】

 井戸の釣瓶の形になぞらえた水指のことをいいます。室町時代の茶人・武野紹鷗(たけのじょうおう)は井戸から汲み上げた水を釣瓶のまま水屋桶にしていたといい、千利休がそれを水指として茶席で使うようになったのだとか。利休が京都の名水・醒ヶ井(さめがい)の水を入れたのに倣い、名水点(めいすいだて)に用いられます。 

  ・名水点……名水を用いて茶を点てる点前。名水であることをあらかじめ客に知らせるため、釣瓶の水指にしめ縄を張るか、釜に封をする。客は茶をいただく前に、水または白湯を所望して、亭主の心入れにこたえる。

季節のお菓子、食べ物

【青梅】

 梅はつぼみや花の季節から茶の湯に盛り込まれる趣向の種に事欠きません。この梅雨の季節には、梅の実をかたどったお菓子が似合いです。
 「青梅」は黄色く熟する前の、まだ木になっている青梅を写し、餅皮や外郎(ういろう)皮を青く染め、餡玉を包んだものです。ほかに求肥やこなしなどを使ったものもあります。いずれも仕上げのへら使いで梅の実の形をかわいらしく表現しています。 

【梅】

 梅はバラ科の落葉高木です。中国の原産で、古くから庭木などにし、品種は300以上も存在するのだとか。早春、葉より先に、白・淡紅・紅色などの香りのよい花を開き、実は6月ごろ黄色く熟します。
 梅の実にはクエン酸・ピクリン酸などの有機酸や、カルシウム・カリウムなどのミネラル、そしてカロテン・ビタミンB1・B2・Cなどが含まれており、その多様さは類をみないほど。梅の実に豊富に含まれるクエン酸は疲労回復に役立ちます。また、ピクリン酸は二日酔い防止にも効果があります。さらに、血管の老化を防止、ウイルスやがん細胞などを取り込んで消化するマクロファージを活性化させるとも。まさに「梅は医者いらず」といわれる由縁ですね。 
 6月ごろ、その年に収穫した梅の実を使って、梅酒や梅干しなどをつくることを梅仕事といいます。ほかにも梅シロップや梅ジャム、甘露煮など、梅には簡単にできる加工法もいろいろあります。
 今年の梅雨時は梅仕事を楽しんでみてはいかがでしょう。

茶趣・行事ごと

【嘉祥(かしょう)の日】

 陰暦6月16日に疫病を防ぐため、16個の餅(もち)や菓子を神前に供えてから食べた風習のことをいいます。起源は平安時代の嘉祥元(848)年とする説や、室町時代末期とする説など諸説あります。江戸時代には主君が家臣に菓子を賜る行事となり、民間では16文で16個の菓子を買って笑わずに食べると運がよくなる、という「嘉祥食い」が大流行したとか。
 現在では、全国和菓子協会が6月16日を「和菓子の日」と定め、全国で和菓子に関するさまざまなイベントが行われます。

【父の日】

 6月の第3日曜日は一家を支えてくれる父親に感謝する「父の日」です。 1910年、アメリカの J.B.ドッド夫人の提唱により始まったもので、アメリカでは父親にバラの花が贈られるようになりました。
 日本でも1950年頃から取入れられましたが、母の日に比べて父の日の認知が進んでいなかったせいか、父親にバラが贈られる風習はあまり根付きませんでした。しかし1981年に社団法人日本メンズファッション協会が「日本ファーザーズ・デイ委員会」を立ち上げ「黄色」をイメージカラーに選定したことをきっかけに、日本でも黄色いバラや、黄色いリボンが巻かれたプレゼントが父親に贈られるようになったのだそうです。同委員会は毎年、日本で最も素敵なお父さんを選ぶ「ベスト・ファーザー イエローリボン賞」を選定しています。

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