あやめ はなさく
夏至-菖蒲華

新暦6月25日 から6月29日
公開日:2016年6月27日

 菖蒲(あやめ)の花が咲きほころぶ季節になりました。
 菖蒲はアヤメ科の多年草です。日当たりのよい乾燥した草地に生え、高さ30~60センチになります。葉は細長く剣状で、初夏、花茎の先に黄色い筋のある紫または白色の花を開きます。古くから親しまれているため、多くの栽培品種が存在します。アヤメ科には、杜若(かきつばた)や射干(しゃが)、花菖蒲(はなしょうぶ)なども含まれます。なお、まぎらわしいのですが、古来より「あやめ」「あやめ草」と呼び、端午の節句に菖蒲湯(しょうぶゆ)で使う菖蒲(しょうぶ)はサトイモ科で、別物です。
 二十四節気の、夏至の次候にあたるこの時季をむかえると、今年もちょうど折り返し地点にきたことになります。残り半年も、時季折々の彩りを味わいましょう。

茶の趣向・心配り

掛物

【雨中看杲日(うちゅうに こうじつをみる)】

 「雨中看杲日、火裏に清泉を酌む」(うちゅうにこうじつをみ かりにせいせんをくむ)という対句になっています。
 この禅語は雨が降り続けるなかで太陽を見る、という一読では首を傾げてしまう内容です。そのこころは、相反するもののなかから通常では探しだせないものを見つけられるかということ。雨が降っているならば雲が覆っているということであり、そこからわざわざ太陽を見つけようとする人はなかなかいません。しかし太陽は無くなっているわけではなく、雲の向こうに確かに存在しています。常識をとりはらい、真逆のものの中に何かを見つけることができるかどうか、この句は問いかけてきています。
 6月もそろそろおしまい、梅雨明けまでもう一息です。

茶花、季節の植物

【花菖蒲(はなしょうぶ)】

 アヤメ科の多年草です。野生の野花菖蒲(のはなしょうぶ)を原種として、日本で改良された園芸品種群で、その改良の歴史は 500年にも及ぶといいます。水辺などの湿ったところで栽培され、初夏に美しい花をつけます。5月の端午の節句の菖蒲湯に使う菖蒲(サトイモ科)に葉が似ていて、美しい花を咲かせるので花菖蒲と名付けられたのだそうです。あやめや杜若と似ていますが、花期が最も遅く、葉の中央の葉脈が著しく隆起している点が花菖蒲の特徴です。
 茶花としては、蕾の中に一輪ぐらい、開花しているものを混ぜて活けるとよいでしょう。

季節のお菓子、食べ物

【水無月(みなづき)】

 6月30日の夏越の祓(なごしのはらえ)の日に食べるのが水無月という和菓子です。
 三角形の白いういろうの上に、邪気を祓うとされる小豆の甘煮を葛で固めて散らします。三角形に作るのは、氷室の氷を表わしているのだそうです。かつて宮中では陰暦6月1日を氷の節句として、この日に氷を口にすると夏やせしないとされていたとか。水無月の三角はこの氷をかたどったもので、庶民が宮中の行事に倣って食べるようになったのだそうです。特に京都では6月の風物詩となっている、季節感あふれるお菓子です。 

【鮎(あゆ)】

 鮎といえば日本の川魚を代表格。サケ目アユ科の淡水魚で、体長20㎝ほどになります。体は細長く紡錘形で、背側は緑褐色、腹部は銀白色、胸びれ上方に黄金色の斑紋がある美しい魚です。秋に川の中流域で産卵し、稚魚は海へ下って越冬します。春になると川をさかのぼり、藻類を食べて成長します。鮎の旬は夏で、独特の香りがあるので「香魚」とも、また寿命が1年なので「年魚」とも呼ばれます。
 栄養面では筋肉や皮膚、血液をつくるたんぱく質が多く含まれているほか、骨を強くしたり、神経を安定させるカルシウムが豊富です。
 調理法は内臓をつけたままのアユに串を打ち、ふり塩で焼きあげるのが定番ですが、ほかにてんぷらや酢でしめたアユ寿司、炊き込みご飯や甘露煮、塩辛など食べ方も多種多様に楽しめます。
 古くは『古事記』にも記述があるという鮎は、姿・味・香りの三拍子揃った「川魚の王」として日本人に愛されてきた魚なのですね。

茶趣・行事ごと

【長闇堂忌(ちょうあんどうき)】

 長闇堂は号であり、通称が久保権大輔(くぼごんだゆう)、本名は久保利世(としよ)といいます。江戸前期の茶人・奈良春日大社の禰宜(ねぎ)で、茶道書の『長闇堂記』で著名です。
 天正15(1587)年に行われた豊臣秀吉の北野大茶の湯に出かけ深い感銘を受け、茶湯を志しました。茶の湯は小堀遠州に学び、片桐石州・松花堂昭乗らと交遊をもっていました。寛永17年(1640)に70歳で没し、遠州はその死を悼んで「悼久保翁記」を記しました。
 6月28日は長闇堂の忌日です。墓と茶室がある奈良・興福院(こんぶいん)では毎年、長闇堂を偲んで茶会が催されます。

【夏越の祓(なごしのはらえ)】

 6月晦日(みそか)に、この半年間の罪やけがれを除き去るため全国の多くの神社で行われる祓の行事です。例えば鳥居のところに茅(ちがや)で大きな輪をつくり、そこをくぐって罪穢(つみけがれ)を祓う「茅(ち)の輪くぐり」。また、紙で人形(ひとがた)を作って身体をなでて清め、それを水に流す「人形流し」などが行われます。輪越しの祭り、みなづきばらえ、なごしのみそぎ、なつばらえ、などと呼ばれることもあります。
 普段は神社にお参りする習慣のないかたも、この半年の反省や気持ちの整理のために近くの神社に出かけ、茅の輪をくぐってみてはいかがでしょう。青々とした茅の香りに包まれると不思議と気分がすっきりし、清々しい気分になることでしょう。

全てのお便りの一覧へ
このお便りの先頭へ

このお稽古にしおりをつけました。
しおりのページでまとめて見れます。

残りのしおり数を増やすには?