きりはじめて はなをむすぶ
大暑-桐始結花

新暦7月20日 から7月24日
公開日:2016年7月23日

 桐は中国の原産のゴマノハグサ科の落葉高木です。灰白色の樹皮で、高さ約10mほどになります。5月ごろ、うす紫色の鐘状の花が円錐状に集まって咲きます。実は熟すと殻が裂け、翼をもった種子が出ます。桐材は白く、木目も美しいのが特徴です。軽くて柔らかく、狂いも少ないため、古くから良質の木材として箪笥、楽器、下駄などの材料として重宝されてきました。この時季は桐の花が実を結び、卵形の固い実がなり始める頃です。
 この候は、二十四節気の大暑の初候にあたります。毎日じりじりと強烈な日差しが照りつけますが、熱中症にお気を付けください。

茶の趣向・心配り

掛物

【行雲流水(こううんりゅうすい)】

 雲は行き、水は流れる。雲も水も一つのところに留まることなく、時々刻々、常に動いている、という意味です。物事に執着せず、淡々として自然の成り行きに任せて行動することのたとえでもあります。
 鎌倉時代に曹洞宗の始祖、道元禅師が著した『普勧坐禅儀』(ふかんざぜんぎ)という書物の中の言葉です。道元はこの書物により坐禅の真義を明らかにし、その実践を強調したそうです。行く雲、流れる水のような自由な境地で修業をすることの大切さを説いている言葉ですが、それはまた、これを前にした私たちに、雄大で美しい自然の一場面を感じさせる美しい言の葉ともいえますね。 

茶碗

【雲鶴(うんかく)青磁茶碗】

 青い空にむくむくと立ち上る積乱雲は真夏の象徴ですね。茶の湯では雲にちなんだ道具が多く、特に夏の茶席には雲の取り合わせが好まれます。
 たとえば、雲鶴(うんかく)青磁茶碗は高麗茶碗の一種で、雲と鶴の象嵌模様が施されています。
 この他にも雲を名に持つ雲龍釜や雲龍風炉もありますね。また、土風炉や灰器にある雲華焼(うんげやき)は、白茶地の器の表に炭化によって黒い斑紋が出た軟陶です。上手く茶席に取り入れましょう。

茶花、季節の植物

【紫露草(むらさきつゆくさ)】

 紫露草はツユクサ科の耐寒性多年草です。北アメリカ原産で明治初め頃に渡来し、日本各地で普通に栽培されるようになりました。高さ50㎝ほどの株立ちとなり、濃淡や色調が微妙に違う紫色の花を咲かせます。花期は春から秋にかけてと比較的長いのですが、花は朝開き、午後にはしぼむ一日花です。じょうぶで栽培しやすい植物ですが、日当りがよく、やや湿気のある所でよく育つようです。
 茶花としては、庭でもよく育ち入手しやすく、また風情もあるため、初夏の花として重宝されています。ただし、一日花であることはお忘れなく。

季節のお菓子、食べ物

【水】【滝煎餅】

 夏の盛りのこの時季、水にちなんだ干菓子がいくつかあります。
 「水」は有平糖や生砂糖などの材料で水の流れを表わしています。白、水色など、見た目に爽やかな印象があります。 「滝煎餅」は長方形の種煎餅に、白砂糖蜜を衣のようにかけて、滝の水しぶきを表現しています。
 どちらも涼感を求める夏にうってつけ。目と舌を楽しませてくれます。

【鰻(うなぎ)】

暑い夏を乗り切る一番のごちそうといえば、やっぱり鰻ですね。
 その昔、鰻は水神の使いとして大切にされた存在だったとか。一般的に食べられるようになったのは江戸時代からで、「土用の丑の日」という言葉は、江戸の博物学者・平賀源内が売れない鰻屋に頼まれて作ったキャッチコピーだそうです。あっさりとした食事になりがちな夏に、スタミナをつけ、夏バテ解消を狙った食習慣が、いまも受け継がれているのですね。
 鰻はたんぱく質が豊富で、ほかにもビタミンA、B2、D、E、カルシウムなどがバランスよく含まれている魚です。ビタミンAやE、B2により、生活習慣病を予防し、また皮膚や粘膜の健康を保ってくれるそう。特にEは若返りのビタミンと呼ばれ、活性酸素を除去し、老化を予防するのだとか。また、脳の働きを支えるDHAや、動脈硬化や脳血栓に有効なIPAも含まれている、なんともたのもしい食材です。
 日本は世界一の鰻の消費国で、そのほとんどが養殖です。養殖ものは1年中出回りますが、旬は7月末ごろ。ただし、天然物は冬眠前に養分を蓄える晩秋から初冬が最もおいしい旬だそうです。
 一般的な食べ方はかば焼きですが、蒸して脂を落とす白焼きもおいしくいただけます。栄養的には、かば焼きも白焼きも差はないのだとか。頭はかぶと焼き、骨は揚げて、骨煎餅もいいですね。 

茶趣・行事ごと

【土用干し】

 夏の土用中に、衣類・書画・書籍などを陰干しにして風を通し、虫の害を防ぐことを土用干しといいます。虫干し、虫払い、夏干しなどとも。
 土用とは立春、立夏、立秋、立冬の四季の変わり目に先立つそれぞれ18日間のことをいいます。その中でも特に立秋前の土用は、一年の中でも暑さ厳しく、農家にとっては一年の作物の豊凶に影響が大きい時期のため、昔から最重要視されていました。またこの頃に、神社や寺では文化財に風を通すため、特別開帳を行うところもあります。
 梅雨の頃に漬けた梅干しを、一度取り出して天日に干す作業もこの頃に行います。このひと手間で梅の水分が抜け、柔らかく美味しい食感の梅干しに仕上がるのだとか。

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