さけのうお むらがる
大雪-鱖魚群

新暦12月12日 から12月16日
公開日:2016年12月17日

 鮭が群れをつくり、故郷の川をさかのぼっていく季節になりました。
 川で生まれた鮭の稚魚は海で成長し、数年後に産卵のために生まれた川へ帰ってくるといいます。鮭がどうやって広い海から故郷の川へ帰ってこられるのか、その研究は途上です。生まれた川の匂いを頼りに帰ってくるという説が有力のようですが、まだまだ多くの謎があります。
 二十四節気では大雪の末候に当たるこの時季、街中では年末セールや歳の市が開かれるなど、あわただしくも賑やかな歳末の到来ですね。

茶の趣向・心配り

掛物

【看々蠟月尽(みよみよ ろうげつつく)】

 看々とは“よく見なさい”という意味で、蠟月とは旧暦の12月のことをさします。「もう12月も終わってしまいます。一年はあっという間ですよ」というような意味でしょうか。さらに蠟には“命”という意味もあって、この句には「命の尽きるときをよく見なさい」という意味もあるようです。
 一年があっという間に過ぎてしまうように、人の一生というものも、いつかは尽きるものです。ぼんやりと過ごさずに、自分の命をよくよく見なさい、というような意味も含んでいるのだとか。中国・宋代の書物『虚堂録(きどうろく)』の中の言葉です。
 十二月になるとよく見かける句ですが、実は奥深い意味があるのですね。

茶碗

【雪笹紋】

 冬も深まると植物の気配も少なくなりますが、そんな時期にも違和感のない意匠が雪笹紋です。“雪持ち笹”などと称されることもあります。笹のうえに雪が降り積もっているところを表しており、安土桃山時代から記録が残っている紋様です。
 冷たい雪を被りながらも確かに息づいている生命が感じられることから、苦節を耐え忍ぶ心や、やがて訪れる春を思わせる冬向けの意匠です。

茶花、季節の植物

【はしばみ】

 カバノキ科の落葉低木で高さは3mほどになります。北海道、本州、九州地方など、ほぼ日本各地の山野に自生しています。庭木としても栽培されます。雌雄同株で、3~4月に葉よりも先に花が開きます。同じ仲間の西洋はしばみの実はヘーゼルナッツとして知られています。
 茶花としては、秋から冬にかけて、穂のように垂れ下がる雄花の蕾を用います。寒菊や椿を根締めに、花入れは竹でも陶器でもよいでしょう。

季節のお菓子、食べ物

【南瓜(かぼちゃ)】

 南瓜には日本南瓜と西洋南瓜があり、日本南瓜はメキシコ原産です。16世紀にポルトガル船で九州に渡来しました。その時にカンボジア産の野菜だと伝えられたことから「カボチャ」と呼ばれるようになったのだとか。寒冷地に適した西洋南瓜の方はペルー原産で、日本へは19世紀ころアメリカから伝えられたそうです。今では「栗かぼちゃ」と呼ばれて北海道中心に作付けされていて、南瓜といえばこちらのほうが一般的ですね。
 南瓜の栄養の特徴はカロテンが豊富なことです。カロテンは風邪などの感染症の予防に効果があるそうですから、昔から冬至に南瓜を食べる習慣があるのは、理にかなったことなのですね。
 また南瓜はビタミンEを多く含みます。ビタミンEには強力な抗酸化作用があり、老化防止、動脈硬化症の予防などが期待でき、血行の改善や、冷え症や肩こりなどの症状をやわらげる作用もあるそうです。
 8月から10月にかけてが最盛期ですが、長期にわたって保存できるので冬場に重宝します。持ってみてずっしり重く、皮が固いものが良いようです。食べ方はてんぷらや味噌汁の具、煮ものなどにむいています。スイーツで楽しむのもいいですね。油で調理するとカロテンの吸収がよくなります。

茶趣・行事ごと

【歳暮の茶】

 なにかと気忙しい年の瀬に、日ごろお世話になっている方や親しい友人などを招いて、この一年が無事に過ごせたことを喜び、お互いにねぎらい合う茶会です。忙しい中を時間を作って集まっていただく貴重なひとときなので、例えば布団釜や霰釜など広口の釜や、暦手や筒、塩笥の茶碗など年の暮に寄せた道具立てで趣向を凝らし、しみじみと興趣にひたるのがよいでしょう。

【羽子板市】

 毎年 12月17~19日に東京都台東区の浅草寺境内で開かれる市です。
 羽子板市は本来、正月用品や縁起物を売る歳の市でした。しかしこの市で羽子板を売る露店が立ち並ぶところから、この名がついたとされています。そのいわれは、羽子板でつく「おい羽根」の「豆」(むくろじ)の部分から「魔滅(まめ)」にあてられ魔除けになるとか「マメに暮らせる」などと言って縁起を担ぎ、江戸時代の後期頃から女の子が生まれると羽子板を贈る風習ができたのだそうです。そしていつしか正月の縁起物として羽子板を「歳の市」で扱う店が増えていったのだとか。境内には華やかな羽子板や羽根を並べた露店が軒を連ね、多くの見物客で賑わいます。

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