さわしかのつの おつる
冬至-麋角解

新暦12月22日 から12月26日
公開日:2016年12月27日

 大鹿の角が抜け落ちる季節になりました。麋(さわしか)とはヘラジカやトナカイなどの仲間の、大きな鹿のことです。そして候名にある“麋角(びかく)”とは、大鹿の雄が持つ角のことをいいます。雄の鹿は一年に一度、角が生え変わります。この麋の角は冬に落ちて、春になるとまた生えてくるのだそうです。
 今年もいよいよ最後の数日となりました。毎年新しく生え変わる鹿の角のように、私たちも新鮮な気持ちで新しい年を迎えたいものです。

茶の趣向・心配り

掛物

【目出度千秋楽(めでたく せんしゅうらく)】

 歌舞伎や相撲などの最終日のことを千秋楽といいますね。歌舞伎などは興業が数日から数週間続きます。そのなかでも千秋楽は締めくくりとして特に大切な日であるとされていました。
 締めくくりが大切であるのは、舞台外で生きる人々にとっても同じことです。“目出度千秋楽”は今年も平穏に大晦日を迎えることができたことを寿ぐ言葉になります。

香合

【釣鐘香合】

 年の瀬を思わせる意匠として、釣鐘香合というものが存在します。除夜の鐘に通ずるため、年末近い茶会が似合いです。除夜の鐘は年越しの間に寺でつかれる鐘のことで、たいていの場合は108回が区切りとなっています。これは鐘の音に煩悩を払う力があるとされており、人間の煩悩の数が108個であるとされているためです。
 茶道において得られる様々な心持や和敬清寂の学びもまた、煩悩を払うことと通ずるものがあります。茶と共に過ぎたこの一年を思いおこしつつ、余計な煩悩を払うのもよいのではないでしょうか。

 年末の銘として挙げられるものとしては「年の夜」や「除夜」などでしょうか。
  “年の夜”とはその年の最後の日の夜、大晦日の夜のことをいいます。また“除夜”というのは夜を除くと書きます。つまり眠らないことを意味するそうです。昔から大晦日から元旦にかけては夜通し起きているのが建前だったのだとか。

季節のお菓子、食べ物

【星加のゆべし】

 愛媛県西条市の銘菓です。柚餅子(ゆべし)はもともと古くから各地で作られてきた柚子(ゆず)の蒸し菓子です。この星加のゆべしは柚子、白みそ、米粉、砂糖などが原料となっています。その製法は柚子の中身をくり抜き、ゆべしの生地を詰め、蒸籠で蒸して干して形を整え、その後、蒸すと干すを繰り返して3か月ほどかけて完成させます。
 丸いゆべしをスライスしていただきます。柚子の香りが漂う上品なお菓子です。

【伊勢海老】

 伊勢海老は岩礁にすむ体長約30㎝にもなる大きな海老です。国内では宮城県北部から南の太平洋岸に生息しているそうです。もともと伊勢湾で多くとれたことからこの名がつきました。味がおいしく、全身が赤褐色とその姿も美しく、腰が曲がった姿を老人に見立て、不老長寿を表すともされ、昔から正月やお祝いの席に用いられてきました。
 ぷりぷりとした食感と甘味が味わえる刺身でいただくのが一番豪華ですが、ほかにも焼き物や揚げ物、パエリアなどもいいですね。残った殻からは濃厚なだしがとれるので、鍋や汁物でも楽しめます。調理の際は殻が固く怪我しやすいので、軍手を使うといいそうです。

茶趣・行事ごと

【除夜釜】

 大晦日の夜に掛ける釜のことをいいます。温かい菓子で、薄茶をいただく習わしです。道具立ては、侘びの趣向で、またその年の干支の道具も使い納めとして取り合わせます。この一年を静かに振り返り、除夜の鐘がなり始めるころまでに一服のお茶を味わいます。炉中の残り火は埋火として、これが種火となって年が明けた元旦の大福茶につながっていくことになります。

【大晦日(おおみそか)】

 1年の最後の日のことを大晦日(おおみそか)、または大晦(おおつごもり)といいますね。晦日(みそか)は毎月の末日のことで、また晦(つごも り)は「月が隠れる日」つまり「月隠(つきごもり)」が転訛したもの。どちらも毎月末日のことです。1年の最後の末日ということから頭に「大」を付け「大晦日」「大晦」というようになったのだとか。
 この日は日暮れまでには掃除も済ませ、年越しの夜には家々を訪れるとされる歳神様を迎えるために、家族そろって心身を清めて一晩中起きているのが習わしでした。伝統的なおせち料理の数々はこの歳神様をもてなすための祝いの膳だったのだとか。年越しそばは江戸時代頃から食べられるようになった風習です。人間の煩悩を取り除くといわれる除夜の鐘が響きだしたら、新しい年はもうすぐそこまで来ています。

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