せりすなわち さかう
小寒-芹乃栄

新暦1月1日 から1月5日
公開日:2017年1月5日

 芹乃栄とは、「芹がのびのびと育つ時期」という意味を表しています。
 芹といえば、「春の七草」に数えられる薬草のひとつ。1月7日に七草粥を食する人に、その年の無病息災をもたらしてくれるとされています。芹はシャキッとした歯ごたえと独特の強い香りが特徴です。この香りはオイゲノールなどの含有成分によるもので、鎮静作用や殺菌・消臭作用があるため、風邪の予防効果をもっています。季節に心を配るという事は、健康に気を遣うということにも繋がるのですね。

茶の趣向・心配り

掛物

 この頃合いは、新年初の茶会である「初釜」が催されることが多い時期です。新年の寿ぎ、新たな一年への祈りを込めた縁起の良い内容を掲げます。

【春入千林処々鶯(はるはせんりんにいりしょしょにうぐいす)】

 春の訪れが林に満ちあふれ、あちらこちらで鶯がさえずっている光景を表しています。うららかな春の訪れを思わせる、情景豊かな掛物です。
 表千家家元には元伯宗旦居士の揮亳になるこの軸が伝わっており、毎年初釜には今句が掛けられる事となっています。ところで今句は元々、『春入千林処々花 秋沈万水家々月』というもの。こちらを元伯宗旦が“花”から“鶯”へと読み替えました。元来の意味合いとしては『春になれば何処に居ても花が咲くように、秋になれば何処にいても月の光が届くように、仏の慈悲は平等・広大に万人へとそそがれる』と意味合い。春の訪れを思わせると共に、仏の慈しみを感じさせる豊かな句です。出典:『葛藤集』

 候名であるところの芹にかけるとすれば、「若菜」が新春の情景を思わせます。また正月の花や飾りとあわせて「初春」「豊年」「千代の春」、もしくは初釜にかけて「初茶」なども適した銘でしょう。1月1日から15日までの間は「松の内」なども似合いの銘です。

茶花、季節 植物

【結び柳】

 正月や初釜の飾りといえば結び柳。青竹の花入れに長いしだれ柳を入れ、枝を中央で結ぶことで輪にしてから垂らしたものです。「過ぎ去った年と迎える年とを結ぶ」という意味や、輪を「和」や「円満」にかけて見立てる縁起の良い飾りとなっています。

季節のお菓子、食べ物

【常磐饅頭】

 表千家の初釜に用いられます。白い薯蕷饅頭で緑餡が包まれており、色の対比が美しい饅頭です。白は雪、緑は松を表現しています。この色合いで「千年変わらない松の翠」、すなわち変わらぬ繁栄や平穏を表現する縁起の良い菓子となっています。

【花弁餅】

 裏千家の初釜に用いられます。押し鮎をモチーフとしており、円盤状の求肥で甘煮の牛蒡と桃色の餡を包んでいます。なお餡は京都のお雑煮に見立てて、味噌餡です。もともと宮中のお節料理のひとつを簡略化したもので、ひとくちの中に料理とも菓子とも呼べる美味しさが詰まっています。

【都の春】

 武者小路千家の初釜に用いられます。紅・緑仕立てのきんとんで、「柳は緑・花は紅」の春を表現しています。やわらかな緑と紅の対比が美しく、迎える春への喜びを思わせる菓子です。

【七草粥】

 1月7日にぜひ食していただきたいのが「七草粥」。他の植物が芽吹く前、早春いち早くに芽吹く「春の七草」は、邪気を払うと言われていました。無病息災を呼ぶと同時に、正月料理で疲れた胃を休めてくれる行事食です。
 なお春の七草を並べると、芹(せり)、薺(なずな)、御形(ごぎょう)、繁縷(はこべら)、仏の座(ほとけのざ)、菘(すずな)、蘿蔔(すずしろ)の七種。秋の七草が見目良いものが集まっているのに対して、食べて身体に良いものが揃えられています。

茶趣・行事ごと

【初釜】

 若水で釜を開き、新年初に催すお茶会を「初釜」と呼びます。流派ごとに定番の花や菓子を用いることが多く、華やかな新春のあしらいを楽しみます。新たな一年への祈りを込め、共に迎えた新年を寿ぐ茶会です。

【義政忌】

 室町幕府将軍の足利義政逝去を悼み、銀閣寺でたてられていた供茶釜です。1981年までの催しで、現在では行われていません。足利義政は銀閣寺建立で知られる他、様々な文化に通じており、茶道も嗜んでいました。義政が所有していた茶道具は、特に東山御持として知られています。
  ・足利義政(1436~1490)……室町幕府第八代将軍。六代将軍足利義教の子。将軍であると同時に文化人であり、武家・公家・禅僧文化の融合体である「東山文化」を築いた。東山文化は「幽玄・わび・さび」で象徴されており、茶道への繋がりも深い。

【人日の節句】

 五節句のひとつであり、新年開けてからの一区切りです。由来である中国では、古代この日に国事として民の吉兆を占っていました。そのためできるだけ災いを退けようと、邪気を払う七草を粥に入れて食していたといわれています。またその七草摘みが日本に伝わり、「若菜摘み」として形を成しました。宮中や神社の行事として、多くの古い書に記録が残っています。これらが現在の「七草粥」の習慣へと繋がっています。

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