きじ はじめてなく
小寒-雉始雊

新暦1月11日 から1月15日
公開日:2017年1月15日

 「雉が初めて鳴き声をあげる頃」という名の候ですが、実は実際に鳴き始めるのはもっと先のこと。だいたい3月から4月頃が雉の鳴き初めです。雉が鳴くのは求愛のためで、オスがメスを求める際に「ケーンホロロ」と特徴的な声をあげます。雉はまたの名を「妻恋鳥(つまごいとり) 」とも呼ばれ、これは『万葉集』に載る大伴家持の和歌がもととなっています。

  春の野に あさる雉の妻恋に 己があたりを 人に知れつつ

 古来より雉は狩りの対象であり、その鳴き声を導として矢を放ちました。この歌は大伴家持が、『雉は春の野原で餌を探しているときも、「妻が恋しい」と鳴く。だから人(狩人)に居場所を知られてしまう』と憐れんだものです。それほどまでに夫婦の絆が強い雉。なかなか意識することはありませんが、国鳥であり多くの市町村の指定鳥でもあります。都市部ではあまり見かけることはありませんが、目にしたら妻を求める声に耳を澄ませてみてはいかがでしょう。

茶の趣向・心配り

茶碗

【雲鶴(うんかく)】

 高麗茶碗(こうらいぢゃわん)の一種で、雲と鶴を配した絵柄のものが多いことからつけられた名です。器種としては高麗時代末期頃からの象嵌青磁の一種で、例外もありますがだいたいは筒形をしています。高麗時代後期に作られたものは「古雲鶴」、その後代で朝鮮王朝時代中期以降のものは「後雲鶴」と呼び分けられます。
 鶴もまた雉と同じように、夫婦仲の良い鳥といわれます。これは鶴は一生番い(夫婦)を変えないとされているため。慶事に頻繁に用いられる鳥であると共に、「夫婦円満」の象徴としての側面も持っているのです。

 恋や縁を思わせる銘としては、「井筒(いづつ)」や「友白髪(ともしらが)」などはいかがでしょう。「井筒」は『伊勢物語』に含まれる話である「筒井筒」に由来しており、幼馴染の男女の純愛物語です。「友白髪」は麻糸を束ね白髪に見立てた物で、夫婦が「共に白髪になるまで長生きする」という願いを込めます。
 もしくは永く連れ添う縁起をかけて「丹頂」「亀齢」、または「福寿」「末広」「瑞祥」なども良いのではないでしょうか。

茶花、季節の植物

【福寿草(ふくじゅそう)】

 丈が短いにも関わらず、咲くと濃く鮮やかな黄色でパッと目に入る花です。地表からの見目から想像される以上に、太くしっかりとした根をはっています。黄金をも思わせる色合い・縁起の良さから、お正月の寄せ植えや飾りとしても好まれます。そのため、元日草や朔日草といった名も持っています。花言葉は 「永遠の幸せ」「幸せを招く」「祝福」など。吉兆を思わせる冬花です。

季節のお菓子、食べ物

【芽キャベツ】

 手のひらにのる小ささが可愛らしい芽キャベツ。子持ち甘藍(かんらん)や姫甘藍といった呼び方もあります。暑さに弱いため、旬は寒い時期です。小さいなかに栄養をぎゅっとため込んでおり、ビタミンCが普通のキャベツの3倍以上含まれています。
 巻きがきついため、葉物にしては火の通りがよくありません。下茹でを行い、アクを抜いてから調理したほうが美味しく仕上がります。サイズを活かして丸ごと串揚げにしたり、ポトフのような煮込み料理に入れるのもよいでしょう。お皿の中でころころ転がる愛らしさに、にっこり微笑みが零れます。

茶趣・行事ごと

【小正月(こしょうがつ)】

 現在の暦は太陽の巡りを基準とした太陽暦を基盤としていますが、かつては月を基盤とする太陰暦を利用していました。太陽暦でいう年の初日を「大正月」とするのに対して、太陰暦で数えての正月を「小正月」と呼びます。現在の日どりに換算すると1月15日にあたり、大正月は忙しく働いていた女たちも小正月には休めるため「女正月」とも呼ばれていました。
 古くは元服の儀式を小正月に行っていたため、この1月15日を「成人の日」としていました。しかし成人式との都合や小正月への馴染みが薄くなったこともあり、2000年からは1月の第二月曜日に変更されています。
 また小正月には一家の健康を願い、小豆粥を食べると良いとされています。小豆の赤色は邪気を払う効果があり、一年の厄を遠ざけてくれるのです。

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