さわみず こおりつめる
大寒-水沢腹堅

新暦1月26日 から1月30日
公開日:2017年1月25日

 一年中で最も寒い大寒の中でも、特に寒さの厳しい時期にあたります。
 「水沢腹堅」は沢にも氷が厚く張りつめるころ、の意味です。その年の最低気温が記録されるのもこの時期が多く、ちなみに日本で記録された最低気温であるマイナス41度もこの頃(明治35年1月25日、北海道旭川市で記録)のことでした。
 この時期をあらわす言葉として「春隣り」というというものがあります。春隣りは冬の季語で、今は寒さがこたえる真冬の時期ですが春はもうすぐそこまで来ていますよ、という気配をいう言葉です。

茶の趣向・心配り

茶器

【老松茶器(おいまつちゃき)】

 茶器の一種です。京都の大山崎町にある寺院・妙喜庵(みょうきあん)には、千利休が建てて現存する唯一の茶室として国宝ともなっている「待庵」がありますが、この待庵の前庭には袖摺松(そですりまつ)と呼ばれる老いた松の木がありました。豊臣秀吉がたびたびこの妙喜庵を訪れ、その秀吉の衣の袖が触れた、ということから名付けられたということです。その袖摺松の枝を使って、表千家六代覚々斎が30個の茶器をつくらせたのが老松茶器の始まりとされています。平たい身に蝶番付きの割蓋が添った形で、正式には老松割蓋茶器といいます。

花入

【竹一重切花入(たけいちじゅうぎりはないれ)】

 新年には曙椿や白玉椿など初春を象徴する椿の花が用いられる機会が多いようですが、そんな時の花入には竹の花入はいかがでしょう。竹の花入には尺八、一重切、二十切、置筒、舟などがありますが、一重切は竹花入の基本的な形で、花を入れる窓が一つで、横一文字に深く切り、上の輪に節を残してあります。
 竹を花入に作ったのは千利休が豊臣秀吉の小田原の陣に随行した際、伊豆・韮山(にらやま)の竹を使ったのが最初といわれます。その時の花入は一重切銘「園城寺(おんじょうじ)」、二重切銘「よなが」、寸切銘「尺八」の三つで、これは「利休三花入」とよばれ、最も由緒正しい最高位の道具に位置づけられています。

茶花、季節の植物

【椿(つばき)】

 椿はツバキ科の常緑高木で、茶花や庭木として古くから日本人に愛されてきた花です。本州の青森県を北限として広く分布するヤブツバキと日本海側の多雪地帯に自生するユキツバキとの自然交雑種を元にして、江戸時代にはすでに園芸品種の改良が繰り返され、数多くの品種が作られてきました。木篇に春という字でツバキと読むのは、古来より春の喜びを伝えるのにこの樹が最もふさわしかったからではないか、とも考えられます。『万葉集』の頃から多くの歌に詠まれ、近世以降は曙椿、白侘助、白玉椿、太郎庵椿、加茂本阿弥椿など数多くの品種が、特に早春を飾る茶花として広く愛用されてきました。

季節のお菓子、食べ物

【笑顔饅(えがおまん)】

 お正月のにぎわいも一段落するこの頃、ほっと一息つくのにちょうど手頃なかわいらしいお菓子です。こし餡を包んだ小ぶりの薯蕷饅頭(じょうよまんじゅう)に朱い点を一つ付けたもの。それが若い娘が微笑んでいる様子が目に浮かんで来るようだと、この名前が付けられたとか。笑顔饅と似ているものに「笑窪」がありますが、こちらは饅頭の上部が愛らしく窪んでいます。江戸時代、京都では結婚披露の時や里帰りした娘を祝い、えくぼ餅をふるまう習慣があったそうです。
  ・薯蕷饅頭……加熱するとふくらむ山芋の性質を利用しすりおろした山芋に米粉を混ぜて生地にした饅頭のこと。白くつやのある仕上がりが美しい。高級なものという意味で上用饅頭ともいう。

【金柑(きんかん)】

 この時期に旬を迎える金柑はミカン科の中で一番小さな実をつけます。名前のとおり金色に近いみかん色の小さな果実は、正月のおせち料理にも甘露煮として登場しますね。皮が薄くよく熟したものは丸ごと生食でどうぞ。また皮にはビタミンCを豊富に含んでいるため、皮のまま砂糖漬けで保存すれば風邪の予防や咳止めなどの効果も期待できます。

茶趣・行事ごと

【夜咄の茶事(よばなしのちゃじ)】

 冬至から立春のころまでの厳冬期に好んで行われる茶事に夜咄の茶事というものがあります。夕方5時から6時ころに席入りし、3時間ほどかけて行われます。しんしんと冷え込み、時には雪が降るような冬の夜に、暖かみとぬくもりあるおもてなしをメインとして、親しい人をお客に迎えます。
 夜咄の茶事では行燈や手燭などを用いて灯りの美しさを楽しむのも大切な要素です。懐石は温かく消化のよいものを用意するのがポイントです。寒いときだからこそ暖かみのある灯火の下で、温かい食事を頂きながら、気のおけない小人数のお客さまとの会話を楽しむ、なんとも風情のあるひと時のようですね。

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