うぐいす なく
立春-黄鶯睍睆

新暦2月10日 から2月14日
公開日:2017年2月8日

 黄鶯とは大陸でみられる高麗うぐいすのことです。睍睆とは「鳴き声がよい」「見目がよい」様子をいいます。山里ではこのころ鶯が美しい声で鳴き始めます。
 鶯は早春にさえずりが響き渡るので「春告げ鳥」とも呼ばれます。緑がかった褐色の鳥で、東アジアに分布。日本では夏は山地の低木林で繁殖し、冬は平地に降りてきます。鶯の鳴き声といえば「ホーホケキョ」が有名ですが、これは繁殖期にオスがメスを呼ぶ独特な鳴き方とのこと。「チャッ、チャッ、チャッ」と自分の居場所を知らせる「地鳴き」や「ケキョ、ケキョ、ケキョ」と警戒音を立てる「谷渡り」などがあります。更に鶯には春鳥・花見鳥・歌詠み鳥・経読み鳥・匂い鳥・人来鳥(ひとくどり)・百千鳥(ももちどり)・愛宕鳥(あたごどり)など多くの別名がありますが、これは古来より人々の暮らしの近くにいて、その声が春の訪れを知らせてくれる大切な鳥だったからなのでしょう。

茶の趣向・心配り

掛物

【鳥啼春到来(とりなくはるのとうらい)】【梅花雪裏香(ばいか せつりにかおる)】

 鶯が鳴き、梅の花が香る、この時季にはこのような掛物で、茶室の中からも春の訪れの近さを実感できそうですね。

【鶯宿梅(おうしゅくばい)】

 梅と鶯にまつわる、『大鏡』や『拾遺和歌集』を出典とする故事です。
 村上天皇の時代に清涼殿で梅の木が枯れてしまったため、新しい梅を探すよう勅命が下り、ある家で見事な梅が見つかりました。それを移植しようとしたところ、家の者が枝に文を結びたいと申し出て許され、持ち帰られた梅の枝の文に気付いた帝が開いてみると「勅なればいともかしこし鶯の宿はと問はばいかが答へむ(勅命と聞いては畏れ多くも謹呈いたしますが、毎年我が家の庭に来る鶯に、わたしの宿は、と問われたら何と答えたらいいのでしょう)」と、美しい文字で書かれていました。文の主は紀貫之の娘で、その梅の木は貫之が愛していたものでした。帝はこれに深く感じて梅の木を返したとの事です。この故事から、鶯がよくさえずる所や梅の木のことを鶯宿梅というのだそうです。

 ほかにこの時季には「春告鳥」「宿の梅」「鶯宿梅」「花の兄」「初音」「梅一輪」など梅や鶯にまつわる銘はいかがでしょう。

茶花、季節の植物

【梅】

 バラ科アンズ属の落葉小高木。原産地は中国中部で、奈良時代以前にはすでに日本に伝来し、栽培されてきました。水はけのよい肥沃な明るい土地を好みますが、比較的寒さや乾燥にも耐えます。可憐な一重咲き、華やかな八重咲きがあり、その品種は現在200以上あるということです。寒さの中で見せる凛とした花姿と香りは古より多くの人々に愛され、『万葉集』以来多くの詩歌にも詠まれてきました。
 春の到来を告げる、初春を代表する花です。

季節のお菓子、食べ物

【鶯餅】

 こしあんを求肥で丸く包んだ餅を、端を少しすぼめて鶯の形にした和菓子です。青大豆を挽いた粉で作った青大豆きな粉をまぶし、淡い緑の鶯色に仕上げます。豊臣秀吉が名付け親という説もあるとか。
  ・求肥(ぎゅうひ)……和菓子の一種。白玉粉をこね,強火で蒸してなべにとり,弱火で砂糖と水あめを入れながら練り上げる。牛皮に似るところからの名称という。

【ほうれん草】

 原産地はペルシアで、日本には江戸時代に伝えられました。 今ではどこでも手に入る野菜ですが、明治時代までは高級野菜として扱われており、広く一般に広がったのは大正時代中期からで、本格的に栽培がはじまったのは昭和以降とのことです。今では全国で栽培され、様々な品種が地域を変えながら収穫され通年市場に出回っていますが、本来の旬は冬です。この時期は色も濃く、栄養分もまして甘味があります。緑黄色野菜の代表としてポピュラーなほうれん草はとても栄養価が高く、とくにカロテンやビタミンC、鉄分を多く含んでいます。カロテンは抗酸化作用があると言われ、がん予防に効果が期待できるほか、動脈硬化を防ぐ作用もあるとされています。肌荒れの防止、かぜ予防にも有効です。

茶趣・行事ごと

【大炉開き(だいろびらき)】

 普通の炉の寸法は1尺4寸(約42.4㎝)ですが大炉は1尺8寸四方(約54.5㎝)あります。これは裏千家11代玄々斎が北国の囲炉裏から考案したという独自のもので、寒い季節の暖かなもてなしのかたちです。大きな釜の蓋を取ると湯気がゆらゆらと立ちのぼり、部屋中になごやかさが漂います。六畳逆勝手を基本とします。1月末から2月下旬までの極寒の時季に限り行われます。 

・逆勝手……茶の湯で、客が主人の左手に座るかたちの茶席。また、その場合の点前。道具の置き方や、点前の方法が一部逆になる。

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