うお こおりをいずる
立春-魚上氷

新暦2月15日 から2月19日
公開日:2017年2月13日

 二十四節気「立春」の最後の候となるこの時期、昼の時間が少しずつのび、それに合わせるように動植物も動き始めます。「魚上氷」とは、水の中で魚たちが冬の眠りから目覚め、暖気で薄くなった氷の割れ目から跳ね上がる元気な魚も見られる、そんな頃のことをいいます。この薄くなった氷のことを古くは薄氷(うすらい)ともいったそうです。やわらかな響きの中に、どこか春の兆しがほのかに感じられる美しい言葉ですね。

茶の趣向・心配り

茶碗

 立春を過ぎると「暦の上ではもう春です」とよく言われるように二十四節気では立春が一年の始まりとなり、季節は春に分類されます。その暦にちなんで、この頃には三島暦手の茶碗などはいかがでしょう。

【三島暦手茶碗(みしまこよみでぢゃわん)】

 朝鮮王朝(李朝)時代に大量生産された高麗茶碗のひとつです。茶碗の内外に印花や沈線で文様を施し、それに白絵の具で象嵌(ぞうがん)し、透明の釉をかけて焼き上げています。名前の由来は、その文様が静岡県三島市にある三島大社の暦・三島暦に似ていることからといわれています。

茶花、季節の植物

【万作(まんさく)】

 マンサク科の落葉小高木です。本州の太平洋側から四国、九州に分布し、山地のやや乾いた斜面や尾根の林内に自生しています。2月から3月ころ、葉が伸びるより先に黄色いひも状の細長い花を咲かせます。
 “まんさく”の名前の由来は、早春に他の花に先駆けて「まず咲く」ことから万作になったといわれています。また、枝いっぱいに黄色い花弁が垂れ下がるように咲く様子が、穀物が実り頭を下げる様子に似ているため「豊年満作」の満を縁起の良い数字「万」に置き換えて「万作」になった、という説もあります。

季節のお菓子、食べ物

 椿は万葉集の時代から庭木として愛されてきた花で、現在園芸種だけでも1000品種以上あるといわれています。11月から4月までの炉の季節には茶花に椿が使われることが多いですが、椿はまた菓子銘にもよく登場します。

【姫椿(ひめつばき)】

 茶菓「姫椿」は紅白に染め分けた道明寺(どうみょうじ)で作られた、ふっくらかわいらしい椿の花の形をしています。米粒を六つ割りにした道明寺の菓子は独特の食感があり、しかも舌にあたらず口どけがいい、上品な和菓子です。
  ・道明寺……道明寺粉、道明寺糒(ほしい)ともいう、もち米を蒸して乾燥させ、小さく砕いた粉で作った生地。大阪の尼寺・道明寺で作ったのでこの名がついた。

【椿餅(つばきもち)】

 道明寺を蒸してこし餡を包み、二枚の椿の葉で挟んであります。その原形は奈良・平安時代に唐から製法が伝わった菓子で、もち米などの粉に甘葛(あまずら…つる草の一種)の汁を加えてこね、椿の葉で包んだものでした。『源氏物語』の若菜の巻や『うつほ物語』にも「つばいもちひ」として登場しています。椿の葉のつややかな緑色が印象的な早春の和菓子です。

【苺】

 つややかな赤い色、指で摘まめるかわいらしい形、一口かじれば甘酸っぱい果汁が口いっぱいに広がります。バラ科の多年草または小低木の総称を苺といいますが、一般には実を食用とするオランダイチゴのことをいいます。今では品種改良や栽培法の改良により真夏を除いてほぼ一年中出回るようになった苺ですが、本来は春が旬の果物です。3月から4月ころに出回る露地物は、甘味が強く値段もお手頃ですが、気温の上昇とともに傷みやすくなるので、菓子店の苺フェアなどは1月から3月ころがピークです。
 ところで、私たちがいつも食べている部分は果実ではなく、花托の発達した花の一部で、その周りにある胡麻の様なつぶつぶが一つ一つの果実だそうです。苺はビタミンCやペクチンが豊富な果物としても知られています。ビタミンCはストレスによって激しく消耗しますし、ペクチンは便秘解消にも効果がありますから、ストレスと便秘に悩む現代人には大切な果物といえそうですね。

茶趣・行事ごと

【大綱忌(だいこうき)】

 江戸時代後期の臨済宗の僧・大綱宗彦(だいこう・そうげん)は京都にある臨済宗大徳寺派の大本山大徳寺の第四三五世住持で、大徳寺塔頭黄梅院(おうばいいん)の第十四世でした。茶を愛し、和歌、書画に優れ、茶道界の発展に尽力したことで知られています。安政7年2月16日に86歳で亡くなりました。その遺徳を偲んで黄梅院に大綱会がつくられ、毎年春と秋に茶会が催されます。

【バレンタインデー】

 2月14日はバレンタインデーですね。 手作りするかお店で買うか、今年はどうしようかな、と迷っている方も多いのでは。
 日本では、女性から男性へチョコレートと一緒に愛を告白する一大行事となっているバレンタインデーですが、その起源ははるか古代ローマ帝国の時代までさかのぼります。男女の愛の尊さを説いたキリスト教の司祭バレンティノは、強兵策のために若い兵士の結婚を禁じた皇帝クラウディウスの怒りを買い、270年2月14日に処刑されました。この日、愛の殉教聖人となったバレンティノにちなみ欧米では恋人や家族にカードを送る習慣が始まります。
 日本では昭和に入ってから製菓会社が甘い愛をあらわすチョコレートの販売促進を行い大ヒット。それまでは男性の告白を待つ受け身が主流だった日本女性たちが、この日ばかりは堂々と、チョコレートとともに意中の人に愛を告白できる、とあって広く定着しました。なお、プレゼントされた男性がお礼を贈る3月14日・ホワイトデーの習慣は福岡の菓子店が始めたもので、日本生まれの行事とのことです。

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