つちのしょう うるおいおこる
雨水-土脉潤起

新暦2月20日 から2月24日
公開日:2017年2月18日

 二十四節気の一つ、「雨水」(うすい)になりました。雨水とは降る雪がいつしか雨に変わり、氷がとけだすころのことをいいます。その初候にあたる「土脉潤起」は、早春の雨によって大地が潤い湿り気を含んでくるころ、という意味の候です。土がしっとりと潤い始めると、地面の中の生き物たちはみな脈々と目覚めてきます。昔からこの時季は農作業の準備を始める目安とされてきました。

茶の趣向・心配り

掛物

 大地が湿り気をおび、地中で発芽の準備が始まるこの頃に、このような掛物はいかがでしょう。

【春来草自生(はるきたらばくさおのずからしょうず)】

 自然界では春が来れば自然に草が生えてきます。そのように、時が来れば必ず花開き、いつかは実を結ぶ、という意味です。

水指

【砂金袋(さきんぶくろ)】

 水指の形の一つです。頸がややくびれ、胴から裾にかけて下ぶくれになった袋形のものをいいます。祥瑞(しょんずい)の砂金袋が有名です。また、香合や香炉などにも砂金袋と呼ばれる袋形のものがあります。いずれも春を迎えるにふさわしい、縁起のよい形です。
  ・祥瑞……中国の明代末に日本からの注文によって景徳鎮(けいとくちん)の民窯でつくられた最上手の染付の磁器。

 この頃の銘には、春を先取りし地面から立ち上がる生命の息吹が感じられるものなどいかがでしょう。

【下萌(したもえ)】【草萌(くさもえ)】

雪が解けたばかりの冬枯れの大地の下から、早くもぽつぽつと青い草の新芽が萌え出てくることをいいます。 

  春日野の下もえわたる草の上につれなくみゆる春の泡雪 (『新古今和歌集』権中納言国信)

茶花、季節の植物

【蕗の薹(ふきのとう)】

 キク科の植物、フキの花茎です。早春、鱗片(りんぺん)状の苞(ほう)に包まれた塔状の花茎が伸び、これをふきのとうと呼びます。北国では雪解けとともに土の中から顔を出し、春の到来を一番に知らせてくれる身近な山菜です。
 まだつぼみが開ききっていないものを選んで取り、衣を薄くつけて天ぷらにしたり、ゆでて味噌や砂糖とあえて蕗の薹味噌にして食べます。青臭い特有の香りとほろ苦さがありますが、その苦味も一緒に春の息吹を味わいます。

季節のお菓子、食べ物

【ごぼう】

 寒い季節が旬の野菜です。ごぼうはキク科の二年草で、原産地はヨーロッパからアジアにかけての温帯地域ですが日本に野生種はなく、古く中国から渡来しました。平安時代には食用が始まり、江戸時代になると全国に野菜として広く普及したそうです。独特の土臭い香りや歯ごたえが愛され、きんぴらや筑前煮など和食には欠かせない根菜ですが、現在ごぼうを食材としているのは日本だけとか。
 ごぼうの主成分は炭水化物で、その大部分は消化吸収されない食物繊維です。これがごぼう特有の歯ごたえや風味を作っています。食物繊維の一種イヌリンは腎機能を高め、リグニンはがん予防にも効果あるとか。さらに便秘改善や糖尿病予防など、いろいろな効果が期待できる野菜ですので、手軽に毎日の食材に取り入れたいですね。

茶趣・行事ごと

【暁の茶事(あかつきのちゃじ)】

 冬のもっとも寒い時季に催され、次第に夜が明けていく風情を楽しむのが暁の茶事です。夜咄の茶事が12月から1月に好んで催されるのに対し、こちらは立春を過ぎまだ寒気は厳しいものの、夜明けの時間がわずかばかり早くなってきた時季に行われます。
 午前4時ころから一刻半(約3時間)かけて、前茶(ぜんちゃ)・初炭(しょずみ)・懐石(かいせき)・中立(なかだち)・濃茶(こいちゃ)・続き薄茶(つづきうすちゃ)の順に行われ、夜込(よごみ)の茶、または残灯(ざんとう)の茶ともいわれるように夜の茶事と朝の茶事が組み合わさった茶事となっています。
 暁の茶事では初炭手前のあと、釜に井華水(せいかすい)といわれる寅の刻(午前4時前後)にくみ上げた清浄な水が満たされますが、この時、水に濡れた釜の肌が灯火に浮かび上がる風情がごちそうとなります。さらに寒気の夜明けの露地での残灯の風情、やがて夜が明けて暁の光が差し込んでくる時を感じる風情など、この茶事ならではの醍醐味が盛り沢山です。

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