こうがん かえる
清明-鴻雁北

新暦4月11日 から4月15日
公開日:2017年4月10日

 雁が北へ渡っていく頃のことです。南から飛んできた燕と入れ替わりに、日本で冬を越した雁たちがシベリ方面へ列をなして飛び去る季節です。
カモ目カモ科の水鳥のうち、ハクチョウ類に次いで体の大きい一群の総称を雁といいます。雌雄とも地味な色で、水辺に住み、ツバメとともに日本における代表的な渡り鳥です。マガン・ヒシクイ・サカツラガンなどが秋に北方より渡来し、春、V字形などの編隊を組んで北に帰ります。雁はガンともカリともいい、空を飛ぶ姿が美しいこと、その鳴き声に哀調があることなどにより、古来より数々の歌に詠まれてきました。
 また、青森県津軽の外ヶ浜付近には、海辺に打ち寄せられた木片を焚いて風呂をわかす「雁風呂(がんぶろ)」という風習があったそうです。これは『雁は渡る途中で羽を休めた小枝を浜に置き、春に再びくわえて北に去る』と言われており、そこから『浜辺に小枝が残っているのは雁が死んだためだろう』として、地元の人々がその供養として小枝を焚いて風呂をわかし人々にふるまった、という民話に基づいたものなのだとか。「雁風呂」は春の季語です。

茶の趣向・心配り

掛物

【花無心招蝶(はなむしんにして ちょうをまねく)】

 この言葉には、あとに「蝶無心花訪(ちょうむしんにして はなをたずぬ)」という句が続きます。
 花はただ無心に咲いていますが、蝶がすっと寄ってきます。蝶も花の花粉を運ぼうと思って花を訪ねるわけではなく、ただ無心に花の蜜を吸うだけです。この関係にはなんの「計らい」も「作為」もありません。その無作為の美しさ、自然の摂理の妙を味わう、というのがこの言葉の意味するものだとか。

 この時季、雁にちなんだ銘はいかがでしょう。
 「帰雁」「雁(かり)帰る」など雁にまつわる言葉も多く、雁が飛び立つ頃の曇り空の雲を「鳥雲」といい、はるか上空から聞こえる風のような羽ばたき音を「鳥風」といいます。

茶花、季節の植物

【芍薬(しゃくやく)】

 ボタン科の多年草で、高さ約60㎝ほどになります。初夏、大形の紅・白色などの牡丹(ぼたん)に似た花を開きます。咲き方も単弁、重弁さまざまあります。日本では古くから薬用・観賞用に栽培され、多数の園芸品種があります。アジア大陸北東部の原産で、初めは根を薬用とするために日本に渡ってきたようです。漢方では根を乾かして鎮痙(ちんけい)・鎮痛薬とします。顔佳草(かおよぐさ)、夷草(えびすぐさ)の別名があります。
 茶花としては、牡丹と同じように華やかな花のため、一種活けがふさわしいでしょう。花の状態は、蕾が開きかけたあたりが好ましいのではないでしょうか。

季節のお菓子、食べ物

【花くれない】

 きんとんで緑の柳と薄紅の桜を染め分け、京の春の景色を表現しています。餡の中には紅餅種が入っています。「柳緑花紅」の禅語にちなんだ銘です。

茶趣・行事ごと

【良寛(りょうかん)茶会】

 良寛(1758~1831)は江戸時代後期の禅僧で、俗名山本栄蔵、号は大愚といい、歌人、書家としても優れた業績を残しました。
 昭和24(1949)年に良寛が修業時代を過ごした備中玉島(岡山県倉敷市)円通寺で、その遺徳を偲んで第1回良寛茶会が開催されました。現在では毎年4月の第2日曜日に、財団法人聖良寛奉仕会主催で、各流家元による献茶式も行われるなど、盛大な茶会が開催されています。

【京都御所春季一般公開】

 京都御苑内の御所の見学は、普段は事前に申し込みが必要ですが、春と秋の年2回、申し込みなしに無料で見学できる「一般公開日」があります。毎年、春の公開日は4月上旬の5日間で、平成28年は4月6日(水)から4月10日(日)までの5日間とのことです。春には華道各流派の生け花や、宮中の装束をまとった人形で華やかに飾られ、雅楽の演奏などの催しも行われ、多くの人でにぎわいます。

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